世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
絵本紹介
2021.06.10
「ありえない!」と思うことも、見方を変えれば、もしかしたらありえなくもないのかも……? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信を持っておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『ありえない!』。エリック・カールさんの最新作を詩人のアーサー・ビナードさんが日本の子どもたちにも楽しめるように訳してくれたこの絵本、いったいどんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
いきなり理解できない状態に出くわしたら、私たちは思わずつぶやいちゃうよね。
「……ありえない!」
でも、それって本当にありえない?
もしかしたら、ありえなくもないかも?
いや、ありえないから面白いの、か!?
さあみなさん、あっと驚く「ありえない」ショーが始まりましたよ。カンガルーのお腹から顔を出しているのは、2匹のヘビのケンカの原因は、ドラネコの首輪を引っぱっているのは、スピードは出ないけどどこまでも行けるタクシーの正体は……。いやいや、そんな。ありえないでしょ。
まだまだ「ありえない」は続きます。まさか自分がたおれるなんて、まさか飼っていた犬にあんなことを言われるなんて、まさか本当にとりかえっこするなんて……!
この絵本がお届けするのは、みんなが考えたこともない、常識破りでヘンテコリンな場面の連続。それを詩人アーサー・ビナードさんが見事に楽しく訳してくれています。
私たちが信じている常識だって、もしかしたら間違っていることもあるかもしれないよね。これは「ナンセンス」か「シュールレアリスム」か。立場が変われば、見え方も変わる。できないと思っていたことも、できるかもしれない。そこにはおかしさと、ほんのちょっぴりの悲しみもあったりして。うーん、確かにこれは、ありえないようで現実に起きていること……? みんなの頭がこんがらがってきた頃。
「なああんちゃって!」
ほらほら、エリック・カールさんが絵本の向こうで舌を出して笑っていますよ。
どんどん声を大きくして
ぱっと見たら普通でも、よーく見るとなんだかおかしい。いやいや、かなりおかしい。変だよぜったい、これ間違ってるよ! このおかしな世界を楽しむには、 読みながら、どんどん大きな声をあげてみるのが一番。さあさあ、どこがおかしいの? こんなこと絶対ありえないって本当に言える? 最後はみんなで大笑い。
「ああ、絵本って面白い」
そんな気持ちになってくれたら、大成功ですね!
この書籍を作った人
1929年アメリカに生まれ、西ドイツで育つ。シュツットガルト造形美術大学で学んだ後、1952年にアメリカへ戻る。グラフィック・デザイナー、アート・ディレクターとして活躍後、絵本作家に。1968年に絵本「1,2,3どうぶつえんへ」(偕成社刊)を発表、ボローニャグラフィック大賞を受賞し、以来絵本作家として活躍。世界的な人気絵本「はらぺこあおむし」「たんじょうびのふしぎなてがみ」(以上偕成社刊)などの傑作を生む。
この書籍を作った人
アメリカのミシガン州に生まれる。五大湖の魚と水生昆虫に親しんで育ち、高校生のころから詩を書き始める。ニューヨーク州の大学で英文学を学び、卒業と同時に来日、日本語でも詩作を始める。『釣り上げては』(思潮社)で中原中也賞、『ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸』(集英社)で日本絵本賞、『さがしています』(童心社)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。翻訳絵本に『ほんとうのサーカス』(BL出版)などがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。