絵本紹介
2021.12.17
ゆかい?ふかかい? なにこの世界!?毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『ぽんちうた』。自由な節回しでうたって! と登場するのは、15のへんてこわらべうた。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
動物や虫たちが、ズボンをはいて一心不乱にどこかに向かって走っている。かと思えば、かしわ餅に気持ちよさそうにくるまっている猫。と思うと、野菜が相撲をとり、うさぎがぺいんぺいんして、くまがななめっこ。いったい何が起きているの!? ぼんやり眺めていると、聞こえてくるのはふしぎな歌。
「ぽんぽん ぽんちき ぽんちうた
ゆかい ふかかい このせかい」
ぽんちうたってなあに?
意味があるようでないような、愉快でへんてこな歌のことだって。
自由なふしまわしで歌っていいんだって。
「ずーずー ぼんぼん ずーぼんぼん」
「ぺったらこ ぺったらこ」
ほんとに、ほんと。変な世界。
くしゃみは止まらん、開かないドアに、水浸しのふとん。
のこったのこった、今日の決まりては「食べのこし」!
あるわけないけど、あると楽しい気もするこの世界。
見たくなるでしょ?
それが、ぜーんぶ奇妙で楽しい歌になって。
読めば読むほどクセになる、これはダジャレ? それともラップ?
まりをついて歌うとちょうどいいリズムで……。
そこに明快な答えや決まりがないからこそ、いくら見ても飽きてこない自由な絵。そして、意味がないからこそ、強烈に耳にのこる言葉のひびき。
気がつけば、おぼえて口ずさんでいる子どもたち。なんだか真似したくなってきたぞ。
人気のイラストレーター「死後くん」が、わらべうたから着想を得て生み出したという15のうた。文・絵ともに担当するのは、本作が初めてとなるそう。和洋折衷・過去未来、いろんなものが入り混じった「ぽんちうた」。すみからすみまで、どこを切り出してもへんてこりん。こんな世界をすらすら生み出してしまうのだから、驚きです。新定番「うた絵本」として、きっと子どもたちが満足してくれるはず。
クセになるのも当然
なんだ、でたらめな世界じゃないかと侮るなかれ。なぜなら「意味を持たない絵や言葉」をこれだけ並べようと思ったら、思いのほか悩んでしまうはずだから。目で見て楽しい、耳に聞いて面白い、そして口に出せば気持ちがいい。そんなものがぎゅっとつまった贅沢な1冊。もちろん、楽しみ方は自由です。
この書籍を作った人
1977年生まれ。 東京在住。 雑誌「POPEYE」(マガジンハウス)、 「母の友」(福音館書店)などのイラスト・マンガの掲載や、 書籍『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』(大野正人著/文響社)、 絵本『ごろうのおみせ』(ごろう作/岩崎書店)、 NHK「おやすみ日本」の「眠いい昔ばなし」の絵を担当するなど、 様々な媒体で活躍している。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。