世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
まあるい月が、すきとおった光を投げかけると、木や草の陰にかくれた虫たちがいっせいに羽ばたいて飛び立ち……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『ふしぎな月』。目を奪われるほど大きく美しい月、いったいどんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
空にのぼるまあるいふしぎな月。その透きとおった光を浴びると、虫たちは一斉に飛びたち妖精になり、野原では花の種が目を覚まし、ぐんぐん育って花をさかせ、海を照らせば波の底から魚たちが夜空を泳ぎまわったのです。
その月の光が街を包むと、今度は家の中に流れ込む。すると、眠っていた赤ちゃんたちがパチリと目を覚まし……。
その次の瞬間、思いもよらぬ出来事が目の前に広がります。ああ、なんて光景! 信じられない。けれど、いつか憧れていたことでもあるような。
その美しくひかり輝く月は、遠い国のサバンナやジャングルの夜空にも、そして戦場の夜空にも。どんな場所にだって、同じように光を投げかけ、そこかしこを照らしてくれるのです。
こんなふしぎな月の存在があったなら。その光が起こす驚きや奇跡を信じることができるなら。夜空にぽっかり浮かぶ、ワンダー・ムーン。どこかの知らない世界の出来事だと眺めているうちに、いつしかそれは、切実な願いへと変わっていくのです。
耳に心地よい言葉のひとつひとつ。それら富安陽子さんの祈りのような文章の全てを見事に絵で表してくれているのが、吉田尚令さんの絵。力強い光をしっかりと浴びた後、やがてその光も朝日とともにはかなく消えていく。その後に残るものは何か。「今」の時代に読むからこそ、響くものがあるのだと感じさせてくれる1冊です。
絵本が思い出させてくれる
空を見あげれば、そこに月が浮かんでいる。どんな場所にいたって、同じように照らしてくれている。当たり前のことなのに、いつの間にか忘れてしまっていたりもする。もし世界がこんな不思議にあふれているのだとしたら。こんなにも力を放ってくれているのだとしたら。そう思うだけで、心が救われるような気持ちになる子がいるのかもしれない。この絵本が思い出させてくれるのです。
この書籍を作った人
1959年東京都に生まれる。児童文学作家。『クヌギ林のザワザワ荘』で日本児童文学者協会賞新人賞、小学館文学賞受賞、『小さなスズナ姫』シリーズで新美南吉児童文学賞を受賞、『空へつづく神話』でサンケイ児童出版文化賞受賞、『やまんば山のモッコたち』でIBBYオナーリスト2002文学賞に、『盆まねき』で野間児童文芸賞を受賞。「ムジナ探偵局」シリーズ(童心社)、「シノダ!」シリーズ(偕成社)、「内科・オバケ科 ホオズキ医院」シリーズ(ポプラ社)、「やまんばあさん」シリーズ「妖怪一家 九十九さん」シリーズ(理論社)、YA作品に『ふたつの月の物語』など、著作は多い。
この書籍を作った人
1971年、大阪府生まれ。イラストレーター。絵本や書籍の挿画などを手がける。主な絵本に、『希望の牧場』(作:森絵都)、『パパのしごとはわるものです』(作:板橋雅弘)、『悪い本』(すべて岩崎書店)、『はるとあき』(作:斉藤倫 うきまる/ 小学館)、『星につたえて』(文:安東 みきえ/アリス館)、挿画に、「雨ふる本屋」シリーズ(作: 日向理恵子/童心社)などがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。