四月から友子は一年生になりました。学校はとっても楽しいです。でも、となりの席のたっくんは、大きくて力も強いし、「おまえ」なんていうし、ちょっとこわいのです。
ある日、学校のうえきばちに、あさがおの種をまきました。友子は早く芽がでないか、楽しみでしかたありません。放課後、いつものようにあさがおの芽を見に行った時、友子はとなりのうえきばちを倒してしまいました。あわてて元にもどしますが、うえきばちの名前を見て、友子はどきっとしました。倒したのは、たっくんのうえきばちでした。
先生に倒したことをいわなくてはいけないのに、なかなかいいだせません。そして、たっくんにあやまらなくてはいけないのに、たっくんはおたふくかぜでお休みしてしまいました。それから友子は、たっくんのうえきばちにもお水をあげました。ところが、たっくんの芽は一つもでてこないのです……。
友達を思う気持ちの大切さを描いた、心温まる幼年童話。
自分の好きなもの、見つけた素敵なものを見せてあげたいと思っただけのたっくん。
でもその気持ちがお友達に伝わらなくて、泣かせてしまった。
たっくんも嫌な気持ちになってしまったことでしょう。
けれど泣いてしまった友子の方も、
たっくんは体が大きくて、声が大きくて、ちょっと怖い、と思いつつも、
同じ幼稚園から上がってきたお友達として、
仲間意識を持っているように感じられます。
お互いに気持ちを伝え合うのが上手くいかないところが、
まだ小学生になったばかりの幼い子供達の姿を如実に表していて、
微笑ましく、また愛おしい気持ちになりました。 (hime59153さん 40代・ママ 男の子6歳)
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