『「赤毛のアン」と花子 翻訳家・村岡花子の物語』 内容紹介
カナダの作家、ルーシー・モード・モンゴメリの書いた 『赤毛のアン』を読んだことがありますか? 赤毛でやせっぽちのアンという孤児の女の子が、 優しい養父母と出会い、元気に成長していく物語です。 この作品を、初めて翻訳して日本に紹介したのが、村岡花子です。 花子は、幼い頃から文学的な才能をあらわし、 カナダ人宣教師がつくった東洋英和女学校で勉強し、 英米文学とその環境にふれます。 短歌も学ぶことで、鋭い日本語のセンスも合わせてみがき、 英語で書かれた文学を、わかりやすい日本語にして読者に届け始めます。 特に、日本にあまりなかった子どもや女性に向けた物語を 美しい日本語で紹介していきます。 第二次世界大戦が始まると、お世話になったカナダ人の先生がたや同僚は、 次々と母国に帰ってしまいます。 そのときに手渡されたのが、『アン・オブ・グリン・ゲイブルス』。 敵国語が禁じられるなか、花子は隠れて翻訳を続けます。 先の見えない生活のなかで、この本から大きな夢や希望をもらっていたのです。 そして戦後7年がたったとき、この物語は『赤毛のアン』として出版されるや 日本の女性たちの心をつかみ、ベストセラーとなります。 花子が元気をもらったように、 この物語はたくさんの人々の心に残る物語となったのです。 本書では、「アン」と花子の不思議と似ている点について紹介しながら、 花子の生涯を紹介しています。 著者は、村岡恵理さん。村岡花子の孫にあたる恵理さんは、 『アンのゆりかご』という本で、花子の一生について本を書きました。 本書は、その児童書版ともいうべきもので、『赤毛のアン』を読んだ人も、 これから読む人にも楽しめる物語になっています。
先に読んだ『アンのゆりかご 村岡花子の生涯』をジュニア版にアレンジした本です。
『アンのゆりかご』から、児童向けにそぎ落とされた部分が村岡花子の生涯にとって重要だったとは思うのですが、逆に村岡花子が『赤毛のアン』にたどり着く必然性をくっきりとさせているようにも思います。
テレビドラマに影響されたとはいえ、第二のアンブームが起きているようです。
この本のテーマと、赤毛のアンのテーマの共通点、村岡恵理自身が
この本を書くに至った道の曲がり角が、とても素晴らしいと思います。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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