「強い木は子どもを守ってくれる」という古くからの教えがあるカリブ海にうかぶ小さな国ハイチ。しかし、ハイチでは生活のためにほとんどの樹木が伐採され、土壌浸食が深刻。そのうえ、せっかく植林活動を行なっても、材木や炭にするために木を切る人があとをたちません。 本書は、そんなハイチに暮らす少年ファシールが、生まれたばかりの妹ルチアのために、苦労して木を育てる感動の物語です。 ファシールが生まれたときにパパが木を植えてくれたように、いま出稼ぎで不在のパパに代わって、妹ルチアにマンゴーの木をプレゼントしようと思いついたファシール。しかし、せっかく植えたマンゴーの種は、はじめはヤギに食べられ、次に雨に流され、今度は焼畑の火に焼かれてしまいます。がっかりするファシールですが、ふいによいことを思いつき、今度こそと種を植え直して…。 ファシールが見つけた方法が希望の輪となり、いまハイチの山々に広がりはじめました。
原題は「希望の環」。荒れた土地の中で木を育てる工夫と努力の話です。ファシールという少年の物語として描かれていますが、あとがきと「ハイチによせる祈り」を読んで、心に突き刺さってきました。ハイチの歴史、ハイチを襲った災害を乗り越えるための活動実話だったのです。
貧困と被災を乗り越えるための「希望の木」。
復興を祈ります。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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