・おばさんの家の壁にかかっていた古びた少女の絵を見たとき、エリザベスはおどろいた。あまりにも、自分とそっくりな目鼻立ちだったから。絵の中の少女、それは、18世紀のアメリカ独立戦争時代に生きた、エリザベスの祖先だった。 ・本書は、亡くなった母親の妹にあずけられた少女エリザベスの物語と、18世紀の開拓民の娘ズィーの物語が並行して進みます。読者は、このふたつの物語と、ふたりの少女がどこでどう結びつくのか……と思いながら読み進むでしょう。と、いつの間にか、舞台は独立戦争の真っ只中に置かれてしまう。そして感動の結末が……。 ・この本の原題、「StoryTeller」は、主人公の少女エリザベスを指したものですが、作者のパトリシア・ライリー・ギフにぴったりだと思います。
2014年の夏休みの課題図書(中学校の部)に選ばれた作品の1冊です。
このお話の根底には、1775年代に始まったアメリカの独立戦争が描かれています。この作品は中学生の部の課題図書になっていますが、中学生の歴史ではアメリカの独立戦争を取り上げていないと思うので、この戦争自体を知らない日本の中学生に興味が持てるかどうかが、まずだいいちかんもんかな?
推薦文のあらすじには『古い肖像画に書かれた自分そっくりの少女は、アメリカ独立戦争時代を生き抜いた自分の祖先だった…』と、ありますので、“自分探し”の物語や家系図そのものに興味のあるお子さんならすんなり手に取れるかもしれません。
約200年前の自分とそっくりな顔の祖先。
その人の姿が形として見ることができるって、すごいことだと思いませんか?
描かれた紙は粗末な羊皮紙で、その絵を残した祖先の誰かがちゃんとしたガラスの入った額に入れておかなければ、たちどころに劣化してしまうような品物でしたので、
いわゆる美術展などで見る絵画の絵に使われている紙とは全く違うものであったと思います。
本当にあった事実を基に、架空の主人公たちがその時代の思いを代弁してくれるので、物語の中にハマってしまえば、自分もその時代を疑似体験したような気分になれると思います。
(今の日本の中学生がどのくらいこの作品を手に取って、物語の中に入り込めるかは疑問ですが…)
最後に作者と役者から、この独立戦争時代についての簡単な解説が書かれています。
興味の出たお子さんはぜひ、「独立戦争」やそのほかの歴史書も読んでみてほしいです。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子14歳)
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