元気なかわうそ、ちびうそくん。 まちへやってきて、きょろきょろしていると・・・ 「ママ みてー かわいい」 女の子がこっちを指さして言っています。 ちびうそくんは嬉しくて、精一杯のかわいい顔をしてみせます。 ところが、女の子が指をさしていたのは、パンダの看板!? がっかりのちびうそくんをよそに、まちはパンダグッズであふれています。 どうやらパンダはまちの人気者のようです。パンダの歌まであるのです。
「ぼくだって、よーく見ればかわいいのにな」
そう思うよ、ちびうそくん。 でもね、そう思っているのは私だけではないみたい。 ともだちのかものはしのかものくんが、元気のないちびうそくんのために、かわうその歌を探してくれたり、かわうそのパンを一緒に作ってくれたり。 そんなかものくんと一緒にいるうちに、ちびうそくんは思うのです。 「ぼく、かわうそで ほんとうに よかった。」 どうしてかっていうとね・・・。
人気者になりたいと思うちびうそくんと、そんなちびうそくんに付き合うかものくん。 ふたりのやりとりは、何て愛らしくて健気なのでしょう。 話が進むうちに、じわじわと幸せな気持ちが生まれてくるのです。
乾栄里子さんと西村敏雄さんの名コンビによる、心あたたまる友情のお話です。 最後のページはちょっと可笑しいですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ちびうそくんは元気なかわうそです。ちびうそくんが町にでかけると、歩いている女の子が、「ママ見て、かわいい」といいました。自分のことだと思ったちびうそくんは、精一杯かわいい顔をしてみました。ところが女の子は、ちびうそくんを通りすぎてパンダの看板にだきつきました。ちびうそくんはがっかりです。すると今度はパンダの歌がきこえてきました。そして、お店にはパンダの本やパンダのパンまで並んでいます。ちびうそくんは、パンダみたいな人気者になりたいと思いました。
ちびうそくんが町から帰ってくると、友達のかものはしのかものくんが、元気がない理由を聞きました。「パンダの歌はあるけど、かわうその歌なんてひとつもないよ」と、ちびうそくんがいうと、かものくんはちびうそくんを池につれていきました。すると、池のなまずたちが、かわうその歌をうたってくれたのです。
ちびうそくんとかものくんの心あたたまる友情を描いた一冊。
確かに他の子がかわいくて人気があれば同じようにチヤホヤされたいと思うのは普通だと思います。でも、ちびうそくんはとっても素敵な友達を持っているし、ちびうそくん自身もとってもかわいらしいと思います。この絵本は自分のままが一番いいんだよ、って教えてくれる感じでした。良いところ人それぞれ。素敵なお話です。 (ピンクちゃんさん 40代・ママ 女の子14歳、男の子7歳)
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