大きな声で泣きながら学校から帰っていた清香に、竹の束を持ったおばあちゃんが話しかけてきました。 おばあちゃんは竹細工の名人でした。 魔法のような手さばきで、柔らかく形を変えられていく竹を見るうちに、清香の心は安らいでいきます。清香は学校であったことを語り出しました。 友だちの失敗を自分の身にかぶってあげたのです。 それを聞いたおばあちゃんは、「トガ負い比丘尼」の話を始めました。 繊細で優しい清香。おだやかだけれども芯の通ったおばあちゃん。世代も性質も違う2人に、竹細工のような温かくゆるぎない友情が生まれます。
<ここがポイント> ・異世代の友情を描きます ・美しい竹細工が登場します ・自己犠牲をする勇気が書かれています
<編集者コメント> 「聞き書き」の名手である、作家の塩野米松さん。この作品は、まさに塩野さんでなければ書けないという設定でした。
作品に登場するおばあちゃんは、竹細工職人です。篠竹は細く、ひと目ひと目、丁寧に力強く編んでいかなければなりません。どんなに手練の職人でも、作業の見通しがつくと、思わず安堵の溜息をつく。そんな繊細で根気のいる作業です。70年、不休で作業してきたというおばあちゃん。教室で、男の子たちの心ない言葉に傷ついた清香ですが、ふと、「このおばあちゃんなら大丈夫」と確信します。
清香の心が、だんだんとおばあちゃんへ寄り添っていく、その過程が、この作品の見どころです。 美しい竹細工などの挿し絵は、新鋭の画家・はまのゆかさんが担当しています。
過去の夏の課題図書で、小学校中学年の子供達に勧められる本を探したくて、読んでみました。
最初は本に対してイマイチなイメージを持っていたのですが、数ページ我慢して読んでみたところ、おばあちゃんが登場してきたあたりから、どんどん面白くなってきました。
おならなんて、本に出てこなさそうな話題なのですが、あえて取り上げているところ、おばあちゃんの話がとても素敵なところ、読んでとても癒されました。
あまり見かけないタイプの本だと思いました。
課題図書でなくなった今、積極的にこの本を手に取る子たちは少ないと思いますが、ブックトークなどですすめたら、読んでくれそうな気がします。
読者は主人公と自分を重ねて読むと思うので、きっと勇気づけられると思います。 (MAYUCLUBさん 40代・ママ 男の子11歳、女の子6歳)
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