むかし むかし、サンタクロースは一人しかいませんでした。 人間のかずも、子どものかずも、とても少なかったから、サンタクロースはクリスマス・イヴのたった一晩で、プレゼントをくばりきることができたのです。
けれども、そのうち人間のかずも、子どものかずも、どんどん増えていきます。 世界中の子どもたちにプレゼントをくばることができなくなったサンタクロースは、神さまにお願いしました。
「神さま、どうか わたしを 2人に してください。」
そうして、小さなサンタクロースが2人になりました。けれども、人間のかずはどんどん増えていきます。そのたびにサンタクロースもどんどん増えていき、やがて・・・。
最後には、一緒に読んでいる大人もびっくり。 「そうだったのか。」 はじめて聞くクリスマスのお話は、可愛らしくてとっても新鮮です。 サンタクロースの本場の地であるフィンランドから刊行されたこの絵本の作者はなんと日本人!20年前からあたためていた作品なのだそう。
「サンタクロースって本当にいるの?」
誰もが抱く素朴な質問に対して、こんな答えを用意するのも素敵ですよね。 どんどん想像がふくらんでいきます。
子どもたちに何としてでもプレゼントを配ろうとがんばる健気なサンタクロースの姿、幸せそうな子どもたちの笑顔。少しずつ変化していく、雪につつまれた街の景色。フィンランドのイラストレーターによって描かれた絵は、大人の私でも一目惚れしてしまうほどチャーミング! クリスマスの新定番になりそうな絵本の誕生ですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
トーヴェ・ヤンソンの『ムーミン』シリーズの版元、また、サンタクロースの本場の地であるフィンランドのシュルツ社から2014年の10月に刊行された素敵な絵本が、日本でも発売となりました。 ひとりではプレゼントを配りきれなくなったサンタクロースは神さまにお願いをして二人になり、それからどんどん増えていき、「あっ! 」と驚くラストがあるストーリー。著者のもたいひろこさんは日本人の作家で、20年前からあたためていた作品をシュルツ社に送り、絵本化が決定したという背景もドラマチックです。フィンランドのイラストレーター、マリカ・マイヤラさんがかわいらしいイラストで「新しいサンタクロース」を描き、珠玉の一冊となりました。
人が増えたからもともとひとりだったサンタクロースがふたりにふえ、よにんにふえ…。
たくさんのサンタたちが大人たちの耳元でこどもたちにプレゼントをささやいているから、大人はこどもにプレゼントをあげたくなる…なんて新しいサンタのお話だなと思いました。
大人がプレゼントを用意して、こどもの靴下に入れたくなるのはサンタがささやくからかーと納得でき、個人的には好きです。
絵本で字数も3歳児くらいでも大丈夫なくらいなのですが、サンタさんがこどもたちにプレゼントを持ってくるという定番のお話を求める大人やこどもにはあまりおすすめできないかな、という気がします。
私は事前に読んで、サンタさんを信じてプレゼントを待っている3歳のこどもにはまだ早いなと思い読みませんでした。 (みちんさんさん 30代・ママ 女の子3歳、女の子1歳)
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