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ツバメ号とアマゾン号の乗組員たちは,老水夫ピーター・ダックと知りあい,帆船ヤマネコ号で,イギリス海峡に船出しました.ところがピーター・ダックの宝をつけねらう海賊,ブラック・ジェイクがあらわれ,しつこく彼らを追いまわします.初めて味わう本格的な航海の喜び.熱帯の島で起きる思わぬ事件.海洋冒険物語.
海の冒険の後半は宝島≪カニ島≫での宝探しと、悪党「ブラック・ジェイク」たちとの最後の戦いがメインに描かれています。
まったく、「ブラック・ジェイク」はひどい奴でした。
今回のおはなしで、ランサムは海洋でしか出来ない海での生活や無人島の自然を見せてくれています。
その姿は美しいだけでな時にく恐ろしくもありましたが、
そういうところも含めて、ランサムならではの自然と人間との共存の在り方も描かれていると感じました。
P344から
「……たつまきは、この船だけではなく、あの船も助けたと思ってます。あの船に乗っていた奴らは、自分たちの船を持っていけと、はっきり悪魔にたのんだのだんだと思います。そのとおりになりました。そして、私は、悪魔が正しかったと思いますな。」(ピーター・ダック談)
今回のお話で特に印象的だったセリフです。
このシリーズには、子どもたちにでもできること、子どもたちにだからこそできたことなどが目に見えるよう(まるで映画でも見ているみたい)に描かれています。
そして、私はそんなところが物語の魅力の一つだと私は思っています!
21世紀に入り、世の中がいろいろ物騒になってきて、子どもたちだけでどこかへ行ったり、何かをさせたりすることが少なくなってきました。
でもやはり、子どものうちにしか経験できないことってあります。
『ランサム・サーガ』は、仮初ではありますが、そうしたことを疑似体験できる楽しさもあります。
このシリーズは、2000年以降神宮さんによって再訳し直されたリニューアル版の文庫です。
後書きには、神宮さんの邦訳者からの言葉のほかに、日本の児童文学界で活躍されている作家の皆さんから、このシリーズ宛ての想いも各シリーズの下巻に紹介されているので、
皆さん、ぜひぜひ最後までしっかりお読みください。
日常生活だけでは経験できないたくさんのことを体験させてくれる物語です。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子16歳)
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