ぞうの親子が森の奥へいくと、かつて森だったところは切り開かれ田んぼになっていた。稲を食べたお母さんは、田んぼを守ろうとする人間に銃でうたれ…。家族を守ろうとする心は、動物も人間も同じであることを描く。
動物愛護の絵本だという感覚で手にとりました。
ぞうという動物を知り、共存する動物たちと自然を考え、その生態に微笑ましいものを感じていたら、絵本は次第に核心に入っていきます。
人間が、次第にぞうや他の動物たちの世界を奪っていく現実に向き合うことになりました。
こうして動物たちは減少していくのでしょうか。
それにしても唐突な出来事には心の準備がありませんでした。
動物たちの居場所がなくなり、食べ物がなくなったら、生きるために人間の社会に出てきてしまうのは仕方ないことでしょう。
人間はそれを受け入れません。
唐突の母親ぞうの死は、悲劇でしかありません。
心やさしいぞうだからでしょうか。
ぞうの流した涙と、寄り添った少女の涙は、とても心に滲みてきました。
近い話では、イノシシやくまやサルや鹿や、人里に現れる動物たちに、涙を流す人はいないかもしれません。
同じ話なのに、どうしてこんなに違って感じられるのでしょう。
宿題を課せられました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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