夏休み、ナンシイとペギイは、ディックとドロシアの到着を心待ちにしていました。ジムおじさん(キャプテン・フリント)とおかあさんが旅行に出かけているので、自分たちだけで思う存分、楽しい休暇を過ごすつもりです。新しい帆船、スカラブ号も注文ずみで、出来上がるのを待つばかり。
ところが、そんな子どもたちを心配した大おばさんが、頼みもしないのに突然の来訪を告げ、せっかくの計画は水の泡になってしまいます。ナンシイとペギイは屋敷にとらわれの身になって我慢の日々を送り、ディックとドロシアは森の屋にある〈犬小屋〉にかくれひそむことに。
それでも子どもたちは大おばさんの目を盗んで帆走や冒険を楽しみますが、やがて思わぬ事件が起こり……。
ランサム・サーガの11巻は、ユーモアたっぷりのドタバタ劇が、なんともいえずおかしい作品です。
諸所の事情がありまして、なんとDきょうだいは“泥棒”をやる羽目になってしました!
それもこれもマリア大おばさまが、招かれざるお客としてお母さんもジムおじさんも留守の時に、ベックフットにやってきたのが一番の原因です。
上巻での感想にも書きましたが、そのために予定は台無し、子どもたちは次から次へと思わぬ事態に陥ってしまします。
子どもたちになりに、その時にできる「一番よかれと思うこと」をして何とか切り抜けようとがんばるのですが、事態はどんどん悪い方に転がっていいます。
とはいえ、ランサムの物語で、いやな気分で終わる物語は一つもないので、ラストはきっと大円団になるだろう想像しながら先に読み進みました。
(もちろん。ラストは思った通り大円団で終わりました)
そして最後のほうにティモシーがポロっとこぼす一言が、意外と的をついていたように思いました。
「いわせてもらえば、あの大おばさんは、姪のむすめにおどろくほど似ていると思うよ」
(さぁ、誰がどんな風に似てるんでしょうね〜。全てを読めば、ティモシーが何を言いたかったのかがわかるはずですよ)
本文の物語の展開はぜひ、皆さんが手にとって一人一人楽しんでいただきたいので、ここでは、後書きについてちょっと触れておきますね。
ランサム・サーガ・シリーズの新書版には、下巻の最後に訳者の後書きと、ランサムファンの関係者からの言葉が載っています。
『スカラブ号の夏休み』では新宿区立司書の方の後書き(解説に近いかな?)でした。
それぞれの方がランサムの物語に強い思いをお持ちなので、物語の裏話や、物語を読んだことで、その方たちがどんな大人になって、どんな旅をしたかなどを知ることが出来ます。
小学生のお子さんたちにはちょっとピンと来ないかもしれないですが、中学生以上の方ならぜひぜひこの部分もしっかり読んでほしいです。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子16歳)
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