とっちゃんの家はお惣菜屋さんです。 夕方保育園から帰った後、お店が一番忙しい時間になります。
家に着いても、とっちゃんはひとりぼっち。面白くありません。 「ママ、あそぼ!」 とっちゃんが言うと、 「あとで あそぼ。」 配達から帰ってきたパパに 「パパ、あそぼ!」 とっちゃんが言っても、 「あとで あそぼうな!」
「あとで」って、いつなんだろうね。 とっちゃんはずっと待っています。 だけど、ママもパパも大事なお仕事で忙しいのです。 思わず大きな声を出してしまうママでしたが……。
とっちゃんが我慢している健気な姿を見ると、胸がチクッと痛みます。だけどママもパパも、そしてとっちゃんも一生懸命なのです。ママやパパはとっちゃんと早く遊びたいと思っているし、とっちゃんにもちゃんとその愛情は伝わっています。だからこそ、最後のとっちゃんの笑顔にみんなが優しい気持ちになってしまいます。家族のつながりを感じる事ができる一冊です。 よかったね、とっちゃん。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
夕方、保育園から帰るとき、とっちゃんはママに言いました。 「もっとあそんでいたいな」「あとで、あとで。さ、かえろう」 とっちゃんの家は、おそうざいやさんで、これからお店が忙しい時間になります。
家についても、とっちゃんは一人ぼっちでおもしろくありません。 「ママ、あそぼ!」とっちゃんがいうと、「あとで あそぼ。えをかいて まっていて」と、ママからの返事……。 とっちゃんは絵を描いて待ちました。 けれど、画用紙を全部使い終わってもママはやってきませんでした。
とっちゃんはママに聞きました。 「ママ……“あとで”って、いつ?」 「“あとで”は“あとで”。ちょっとまって、ってこと!」 ママが大きな声で言ったので、とっちゃんは、それっきり、黙ってしまいました……。
我慢するとっちゃんのけなげな姿や、親子の心が通じ合う姿を丁寧に描いています。 読み終わった後、優しい気持ちになれる一冊です。
働いていると色々なことに忙殺されて、子どもとの約束を後回しにしてしまいますよね。
これは、どのご家庭にも起こりうることだと思います。
それにしても、「あとで」を信じてずっと待っているとっちゃんは、偉いですね。
かんしゃくを起こさずじっと待っていて、なんだか切なくなってきます。
そんなとっちゃんのために仕事が終わってからの時間を使ってくれるパパとママも、愛情にあふれていて素敵だと思いました。 (めむたんさん 40代・ママ 男の子22歳)
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