「おかあさん、このくつ。とうとう あなが あいちゃった」。 お気に入りの靴が小さくなり、穴が開いてしまったので、捨てることになったあすかちゃん。 そんなあすかちゃんに、おばあちゃんが 「このくつ、あらってあげようよ。」と声をかけました。 「えー、どうして もう すてるのよ。」 「こんなに なるまで がんばってくれたんだから、ねっ、すてるまえに、もういちど きれいにして あげようよ。」
おばあちゃんと一緒に靴を洗っていると、あすかちゃんの中に、 お店で靴を見て、一目で気に入って買ってもらったこと、 遠足ではじめて履いたこと、 おばあちゃんと旅行に行って、たくさん歩いたこと……など、 この靴と過ごした毎日が、次々と思い出されてきました。 心をこめて靴を洗うあすかちゃんは、靴にどんな思いを伝えているのでしょうか……。
12冊を通して、「わかちあう心」や「すがすがしい心」など、多くの人に伝えたい12の心情を描く「すこやかな心をはぐくむ絵本」シリーズ。 今回は「ものを大切にする心」をテーマに、さこもみみさんが爽やかなかわいらしいイラストで描き出します。
おばあちゃんがフキノトウの下ごしらえをしている姿や、庭の花壇に咲いている花々から季節を感じることができたり、靴との思い出を通してあすかちゃんの成長を見守ることができたり……メインのストーリー以外にも楽しみ方がそこここに隠れているのも、この絵本の魅力のひとつ。 おばあちゃんと孫のやりとりもほほえましく、絵本を読んだ後に身近な人と一緒にいることの幸せをしみじみと感じることもできそうな、心温まる一冊です。
(木村春子 絵本ナビ編集部)
お世話になったくつを、捨てる前に洗う。
もう捨てるだけなのに?と思いましたが、ずっと一緒だった大切なものに感謝の気持ちをもって振り返るってとてもいいことだな。と思いました。
母ではなく、おばあちゃんだからこその視点というか心のゆとりを見せてもらったような気がします。 (みっとーさん 30代・ママ 男の子5歳、女の子4歳)
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