母の愛、生と死を詩的に語る感動物語
一人の女が産んだ十三番目の子は、その十三回目の誕生日に、暗黒の神ドンドに捧げるために、いけにえとして海へ沈められる――そんな言い伝えのある村で、十三番目の子として生まれた娘ダーラを巡る愛と感動の物語。
イニスコール島の村には、古くから、ある言い伝えがあった。一人の女が産んだ十三番目の子は、その十三回目の誕生日に、いけにえとして暗黒の神ドンドにささげなくてはならない。その子の命と引き替えに、村は十三年の繁栄が約束される、というのだ。 明日は、十三番目の子として生まれた娘ダーラの、十三歳の誕生日。 この世で過ごす最後の夜。ダーラの前に、クロウタドリに姿を変えた空の神ルグが現れ、母メブの家に連れていかれる。そこで知った衝撃の真実とは――。
家族の苦しみと悲しみ、深い愛と絆を描く感動の物語は、淡々とした筆致で語られ、抑えた色調の美しい絵が、それに寄り添う。 著者のシヴォーン・ダウドは、大学卒業後、国際ペンクラブに所属し、作家の言論や表現の自由を守る活動家として世界各地を飛び回りながら、自分でも本を書き始めたが、二〇〇七年、四十七歳の若さで他界。本書は、ダウドが生前に完成させていた作品のうちの、最後の未発表作品となる。
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