お父さんと手をつなぎ、家路を歩く赤い服の少女。 灰色に閉ざされた街の中で、少女の着ている赤だけがあざやかです。 ふと、道端に咲く花を見つけた少女は、その花を摘みます。 あちらこちら、だれにもふり返られることなく、都会の道端に咲く小さな花々を、少女は集めます。
お父さんに手を引かれて歩くうち、赤い少女と色とりどりの花々は、灰色の街の真ん中に横たわる小さなスズメに出会いました。 花を少し、スズメに分けてあげる少女。
突然夜が明けたかのように、灰色の街がぱっと、あざやかに色づきました。
少女は花を分けて歩きます。 だれに気づかれなくとも。 だれに感謝されなくとも。 少女がこっそりと花を配るうち、街はみるみる色を取り戻していって―
この作品に文字はありません。 文字の代わりに少女の心を描き出すのは、『色』です。 影の黒と日の当たる白、そのあいだの灰色。 モノトーンで描かれた街は、なんだかさびしく、冷たい印象です。 やがて、小さな出会いとささやかな行動によって、少女の心のうちと彼女の見る世界は、やわらかくあざやかなものへと、少しずつ変化していきます。 "色"がこんなにも豊かに人の感情を表現し、深く感動を呼び起こすものだという発見が、きっと新鮮な驚きをくれるはず。
少女とお父さんは、色彩あふれる我が家に帰りつきます。 しかし、花を配るために少し立ち寄っただけだとでもいうように、少女はふたたび家を出ていきました。 一輪だけ残った花と共に、ほほ笑んでいるようにも、憂いているようにも見える表情で歩く少女。 最後のページ、彼女はなにを思っているのか? この絵本を飾る色彩のどこかに、その答えが描かれているかもしれません。
(堀井拓馬 小説家)
この絵本そのものが、路傍の無口な花のようです」 詩人・谷川俊太郎さんより
家までの帰り道、お父さんといっしょに歩く、小さな女の子。 見つけたおはなをだれかにあげるごとに、 女の子をとりまく世界は色あざやかに変わっていきます。 たとえ、だれもそのことに気づかなかったとしても……。
「ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞」(2015) 「カナダ総督文学賞」(児童書部門)をダブル受賞!
小さな世界に訪れる、生きる喜びを描いた文字のない美しい絵本。
文字がない絵本です。
色も少な目です。
基本はモノトーン、
女の子のパーカーだけが赤で
目立っています。
それ以外は少し色がついていますが、
主に花を中心に描いた絵本です。
女の子の周りには花があります。
タイトルどおり花がテーマです。 (ジョージ大好きさん 40代・ママ 男の子10歳)
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