地球の病気/しずかな地面/地球の上に/いくつ/すてきな音が/あしか/つる/いぬの子/ぞうのはな/他24編。
『現代日本童謡詩』というシリーズから刊行された藤田圭雄さんの詩集です。タイトルの「地球の病気」と19番目に紹介されている「早口ことばのうた」には曲がついていて、童謡になっています。
私はこの詩集を読むまで、藤田さんの「地球の病気」を実は知らなかったのですが、この詩は本当にすごかったです。(詩を読む限り童謡にして大丈夫なの?とも思ってしまいました)
「地球の病気」
あんよで地面をたたきましょ 地球が病気だ くるしそう
トントントン トンストトン
まいにち すこうし あつすぎる おねつがあるのじゃないかしら
トントントン トンストトン
雨の日まいにちつづきます おなかがわるいのかもしれぬ
トントントン トンストトン
きのうもゆらゆら地震です むしでもいるのか 盲腸か
トントントン トンストトン
どこかで もくもく きのこ雲 心臓破裂か 癌でしょうか
トントントン トンストトン
あんよで地面をたたきましょ ぼくらは子どものお医者さん
トントントン トンストトン
この詩集が刊行されたのは2002年です。
この詩よりも後にスマトラ島沖や中国、日本などで大地震が起きています。
ここに描かれている「きのこ雲」は日本に落とされた原爆のこともあるとは思いますが、チェルノブイリの原発事故も思い起こされます。
かわいらしい言葉とリズムで紡がれている詩ですが、
よく考えると、作者の大きな想いが受けとめられます。
ただ、この詩集にはこうした重めのものだけでなく、四季を感じさせてくれる優しく穏やかな詩や、「早口ことばのうた」を含めた楽しいものをたくさん載っていました。
たまには学校のクラスや家族で、こうしてじっくり時と向き合う時間を取ってみてはいかがでしょうか? (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子16歳)
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