大きな手が何かをほりだします。 茶色い土から何かを。
「ほりだす ほりだす ガリ ゴリ ボリ」
土のなかから出てきたのは、見開きいっぱいの茶色いめがね。 ふちに模様が描かれている、大きいめがね。 このめがねをかけると見えてきます。 何が?
「ごおお ごおお やまのかぜ ぽっぽっぽっぽっ しろいはな さわさわ むぎばたけ」
色や音に呼応するように…… 山や花、畑のかげにうごめく生き物たちが、大きく、おおらかに登場します。 その力強さ、息づかい、広がり! 画面いっぱいの震動がつたわってくるようです。
どんどろめがねをかければ、ほら、見えてくる。 世界をのぞくよろこびとおどろおどろしさ。 大きくふくれあがっていく、いのちの力の発露。 風、土、花、雨、動物たち。 美しくて未知でちょっとおそろしくて……。
はやしますみさんの絵が圧倒的ですばらしい一冊です。 どんどろめがねがつなぐ、ぼくと宇宙。 その一体感にゆさぶられ、しばし時を忘れてぼーっとしてしまいます。 そして、ハッと気づいたらいつのまにかめがねは消えている。 濃い色、絵筆の力強さの合間に、清涼感のある空気がにじみます。 魔法にかけられたようなひとときを味わえる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
山が大きな動物の背中に見えたこと、あるかな? 流れていく雲たちが動物の群れに見えたこと、あるよね? 自然が宿すもうひとつの姿を、はやしますみがオイルパステルでダイナミックに描き出す。 目には見えない、でも確かにそこにある姿が、色が、魂が――そう、めがねをかけると見えてくる。
タイトル印象的ですが、このタイトル文字のつくりも面白いです。
この表紙の字を飾っているのは、絵本の中に登場する動物たちの体を張った絵文字です。
カメが一番わかりにくかったけど、「なるほどそうなっているのか」と気付くとそれはそれで面白かったです。
1ページ1ページの絵が大きくて迫力がありました。
魚も狼もいい感じでしたが、個人的には「ガオーっ」って感じではないハト(かな?鳥)のページが一番好きです。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子21歳、女の子16歳)
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