「望みの国」の魔法の学校は、ちょっぴり風変わり。ここでは、魔法のつえや呪文は使いません。先生は子どもたちに、一番大切なのは自分のほんとうの望みを知って、きちんと想像することだと教えます。表題作のほか「レンヒェンのひみつ」「はだかのサイ」など、エンデならではのユーモアと風刺に満ちた、心にひびく10の物語。
魔法の学校に取材に来た人が見聞きした様子を語ってくれる「魔法の学校」の他、ファンタジックな短編が10篇収録されている。
日本語版:初出1988-1993年、上製本:1996年、岩波文庫:2017年
大人が読んでも、充分に楽しく、読みごたえがあり、読了後にはいろいろと考えさせられる。力強い物語ばかり。
子どもの頃に、誰でもおそらく一度は考えただろうことを、物語にして目の前に出してもらった気がする。
思い切りワガママを通したらどうなるか?
魔法使いになるための訓練は、どんな風にするのか?
威張っていて迷惑な人の対策方法は?
…などなど。子ども時代の自分にも読ませてあげたい。
特に印象にのこったのは、「オフェリアと影の一座」。
自分の特徴を活かして、人が考え付かない方法で幸せになれる話で、素敵だった。
この短編集は、どの話から読んでも良いので、気楽であるが、読んでいる最中も、読んだ後も、いろんなことを考えさせられる。もしかすると、作者は、幸せとはどういうことかを、真剣に考え続けたのかもしれない。
娯楽作品というより、哲学の時間のようだった。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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