あるところにひとりぼっちで暮らすおばあさんがいました。 おばあさんは気持ちのしっかりした人でした。体が弱いことにも、貧乏にも負けず、朝から晩までせっせと働き、ひとりでりっぱに暮らしていました。 でも、そんなおばあさんだって、話し相手がほしくなります。一緒にパンを食べ、おしゃべりをして冗談をいえる人がいてくれたら…。
ある晩、小さな赤いめんどりがたずねてきました。 おばあさんは小さなお客さんに喜び、とりかえしに来た、元の持ち主のおそろしい男からめんどりを守るため、大切なろうそく立てを手放します。そのめんどりはふしぎな力をもつ働き者で、暮らしは少しずつ楽になっていきます。何よりも、おばあさんは、めんどりと一緒にいるだけで幸せになるのでした。 しかし男がまたもや、めんどりをとりかえしに来て、無理やり連れていってしまいます……!
「チム・ラビット」や「グレイ・ラビット」シリーズの作者であるアリソン・アトリーによる、ふしぎなめんどりとおばあさんの物語。田舎暮らしの様子が、描写豊かにいきいきと描かれます。 男に連れていかれてめんどりももうここまでかとドキドキしますが、最後には胸がすくような出来事がおこります。 さらには、めんどりが「コッコ」としか鳴けなかった理由と、ふしぎな力の秘密も明らかになります。
本書は「こぐまのどんどんぶんこ」シリーズの一冊。本を読むのがちょっと苦手な子も、どんどんたのしく読めるようにと工夫された幼年童話シリーズ。小学校低学年からの1人読みにぴったり。絵本の次に何を読もうかと迷っているお子さんがいたら、ぜひ手渡してあげたいシリーズです。挿絵がたくさん入っているので、長めの読み聞かせのお話として、寝る前に読んであげるのもいいですよ。
孤独だったおばあさんが、小さなめんどりと暮らすようになる物語。だれかがそばにいてくれる幸せが伝わってきます。いつか、こんなともだちができたら素敵だなあ…。そんな夢をみたくなるお話です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
小さな家に、働きもののおばあさんがひとりぼっちで住んでいました。 ある晩、そんなおばあさんのところへ不思議な力をもつ小さな赤いめんどりが訪ねてきます。 ところが、めんどりの元の主人がめんどりを取り戻そうとやってきて・・・。 イギリスを代表する児童文学者の不朽の名作が、柔らかな印象の新しい挿し絵でよみがえります。
一人暮らしのおばあさんのところに、ある日、小さなめんどりがやってきます。そのめんどりは、不思議なめんどりで……。
短いお話のなかに、いろいろおこり、ひきこまれます。
年月がどれだけたとうとも、やっぱり、アリソン・アトリーの物語はおもしろいなあ、とあらためて思いました。
(あんじゅじゅさん 40代・その他の方 )
|