ある日、森の中で、こぐまのブラウンは、へんてこなものを見つけます。
「なんだろう?」
ブラウンが気になって触ってみると…タン! きいたことのない音がします。 その日から、ブラウンはこの「へんてこなもの」に夢中。 ちょっとずつ触っているうちに、どんどん沢山の音を出せるようになり、やがて、気が付くとブラウンの奏でる美しいメロディに仲間のクマたちが集まってくるようになっていたのです。仲良しのグレイもうっとりしています。
ある晩、偶然通りかかった人間の女の子とお父さんが、ブラウンの演奏を聴き、立ち止まります。そしてブラウンに言います。 「いっしょに街へいきましょうよ。街には音楽があふれているの。」 仲間のことを思い、迷いながらもブラウンは遠い街へ行くことにします。そこでブラウンは…?
森の中で美しい音楽を奏でていたブラウンが、やがて大きな街で夢を叶える瞬間。その心の高揚は、読者にもダイレクトに伝わってきます。大観衆の拍手だって聞こえてきます。何もかもがキラキラして眩しいような日々。憧れます。でも、その先に見えてきたのは、ブラウンにとって本当に大切にしたいもの。その道を通ってきた人にしかわからない答えなのかもしれませんね。読者はそれを温かく見守るのです。
このスケールの大きな設定、それでいて心にじんわり響く物語を描いたのはイギリスで話題となっている新人作家デイビッド・リッチフィールド。俵万智さんの翻訳で日本の読者に届くことになりました。シンプルな言葉の中から色々な種類の音が聞こえてくるようで、静かにじっくりと味わいたくなる1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ある日、こぐまのブラウンは森のなかで、「へんてこなもの」を見つけます。やがて、ブラウンはへんてこなものを弾けるようになります。 偶然通りかかった人間の女の子とお父さんがブラウンの奏でる美しいピアノの音楽を聞きます。ブラウンはふたりと一緒に町へ行き、ピアニストとして大成功をおさめました。 でも、ブラウンは森と、友だちと、森のピアノが恋しくなり・・・。
ピアノを弾く者にとっては、舞台での演奏は憧れではないでしょうか。
うちの娘はピアノを習っていますが、やはり年一回の発表会をとても楽しみにしています。
だから、クマのブラウンが町へ行って、素敵な音楽を聴いたり、大勢の前で演奏をしてみたいと思う気持ちはよく分かります。
でも、その夢が叶ったら幸せなのか?本当のブラウンの幸せとは?
きっと、色んな人が自問自答したくなることでしょう。 (tori.madamさん 30代・ママ 女の子7歳、女の子4歳)
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