感情のない冷たく恐ろしげな目、口内にびっしりと並んだ鋭い牙、大きくなめらかな体…… 人間には自由の効かない水中で、悠々と泳ぎまわるあの灰色の影は…… そう、サメです。 サメといえばやっぱり、あのおそろしいホオジロザメ! いやいや、おおきな体で愛嬌のある顔をした、ジンベエザメだってかわいいぞ!
とはいえ私たちはサメのことをどれくらい知っているでしょう? サメは、全身の骨がナンコツでできているって知っていましたか? それに、サメの全種類のうち10パーセントが、発光することができるのです!
もちろん、ホオジロやジンベエ以外にも、サメはもっとたくさんの種類がいて、なかには擬態を使って身を隠す忍者のようなものや、群れで狩りをする賢いものもいます。
サメのイラストにおそろしげな感じはなく、カラフルな海の景色もあいまって、「本棚に面で陳列しておきたい!」と思わせる、とてもおしゃれな絵本になっています。
大人もびっくりの、知られざるサメ知識にあふれた一冊。 怖いだけじゃない、強いだけじゃない! 多種多様を極める、太古の海より生きる海のハンターを学ぼう!
(堀井拓馬 小説家)
サメってなにもの? 無敵のハンター、サメをたずねるぼうけんにでかけよう! 恐竜が生まれる2億年もまえから地球上でくらし、いま、500をこえる種がいるサメ。とっても小さなペリーカラスザメから、いちばん大きいジンベエザメまで、サメのふしぎを徹底的に紹介します!
* 無敵のハンターが持つ超能力とは? * ほえ声いちばんはだれ? * 海のそとに出ちゃうサメって? * 赤ちゃんたんじょう! でも、ほかの生きものとちょっとちがう?! * 水にひそむ、サメ界のロックスターはだれ? * なまけものもいるってほんと? * サメのくらしをどうまもる?
などなど、たくさんの疑問におこたえします!
地球に住むサメを紹介。サメの種類、暮し方、食事、繁殖、体の特性などを、わかりやすくてお洒落なイラストで楽しむ。
けっこう専門的な説明があり、読み応えがある文章。サメの特徴を的確に捉え、わかりやすく単純化したイラストは、文字の説明がわからなくても、しっかり見てわかり、印象に残る。
科学絵本は、リアルな写真が苦手という人もあると思うが、この絵本は写真が1つもなく、全部イラスト。色がきれいで、怖くないように工夫した形なので、抵抗なく見られると思う。
サメの暮らしは、集団で狩をする、単独で小さなプランクトンを飲み込む、他の生き物と共生する、深いところにもぐって活動する…など、ユニークだ。映画やニュースなどで、人が襲われた場面を扇情的に描いたのを見て、私は恐怖心が強くあったが、実は人を専門に食べるサメはいないという。サーフボードに乗って泳ぐ人の形は、サメから見ると海がめやオットセイなど、いつも食べている生き物に似ているから、つい噛み付いてみたというのが真相らしい。
美味しくなければ食べない。サメも食べ物を選ぶのだ。
それよりも高く売れるために乱獲されるフカひれの犠牲者(犠牲サメ)や、間違って漁師に捕られてしまうサメ(商品として売れないと、海に捨てられる)など、人間がサメに対して行う残虐行為のほうがよほど恐ろしいと思った。
最後には海洋環境について、読者に考えてもらい、環境や生き物のことを尊重するライフスタイルの提案がある。
スーパーなどでパック詰めされて売られている「サメ」。他にも魚がたくさん売られているが、そんなに魚を食べる必要があるのだろうかと最近考える。魚が食べられない子どもがあったら、案外、時代の最先端を行く環境保護が実践できている人なのかもしれない。
今は他にいくらでも食べるものがあるのだから、フカひれや過剰に魚を捕って無駄に殺すことはないだろう。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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