身近にダウン症のお友だちがいない子どもたちや大人たちにとっては、「ダウン症」は実はわからないことだらけのような気がします。 そんな時にであったこの本に衝撃を受けました。 『マルコとパパ』は、本といっても、物語でも絵本でもなく、ひたすら記録された日常のスケッチブック。 そこにあるのは、偽りのない、苦悩している正直なパパの姿とあどけない可愛いダウン症のぼく。100ページ以上にわたる愛情の記録でした。
パパの描くスケッチを見ていると、 まるで会ったことのないマルコくんが知っている友だちのように思えてきます。 写真よりなによりも、パパのスケッチが、息子の生きている瞬間を逃すまいと、マルコくんの全てを心の眼でつかまえているのか伝わります。
言葉で伝えるよりもこんなにも力強いメッセージがあるということ。そしてたくさんの人がこの本の存在を知ることができたらいいなと思います。
パパが本の中で書き記したメッセージが、心に響きます。
「これでいいんだと。 それだけじゃない。このほうがよかった、 いや、これがいちばんだ、と、わかったんだ!」
(富田直美 絵本ナビ編集部)
ダウン症のある息子マルコとの関係を、ラテンアメリカ出身のイラストレーター・グスティが、父親の視点から、かざらない言葉と、ユーモアあふれるイラストで誠実に描きだした作品。
最初は受け入れられず、困惑するだけだった自分のこと、家族や周りの人たちの言葉、ありのままのマルコを愛するようになったこと、マルコのお気に入りの遊びやさりげない日常の一コマ、そしてマルコをはじめ障害のある子ども・人々と共に生きることの意味が、シンプルな言葉と、見るものの心をつかむイラストレーションで綴られる。
本書は世界的に高い評価を得ており、2016年にボローニャ・ラガッツィ賞障害の本部門最優秀賞受賞するほか、ミュンヘン国際児童図書館推薦図書ホワイト・レイブンや、IBBY障害児図書資料センター推薦図書などに選ばれている。
生まれてきた子どもがダウン症ダッタことの驚きととまどいから始まる、父親から見た子どもの成長スケッチです。
母親はもちろん、兄も違和感なくダウン症の弟を受け入れての生活は、多少の違和感はあるけれど、当たり前の家族風景のように思えました。
ダウン症を個性として考えられる「絵本」です。
あまり特別視しないことの大切さも感じました。
最初にビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のレコードジャケットをもじったような絵があったり、お城に攻め込んで来る軍隊の絵があったりで、ダウン症の子どもを受け入れる作者の心情が、象徴されていると思います。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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