三浦綾子という小説家の唯一の童話として、ダウン症である岡本佳子さんの心の中で熟成させた絵を通して、作られた興味深い作品です。
まっかなまっかな木への関心と、そこにたどり着くまでの様々な関心事が、なかなか木の正体を明らかにしてくれないのですが、サカナやリスやバッタの描かれ方で、子どもならではの特性の世界だと感じました。
長編の中で機微を紡がれる作家としては、短編の童話でその本領を発揮することは難しかったと思うのですが、岡本さんの絵の伸びやかさで、障害者の生きる喜びへと昇華されているような気がしました。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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