横浜から山口に引っ越すことになった、小学4年生のえり。ある日、じいちゃんのすすめで、じぶんだけのちいさな畑をはじめることになりました。 そこで出会ったのは、ふまれても飄々と生きる雑草たちや、ももの木のうえから細かな毛を飛ばしてくる〈もものけむし〉、台風のまえの巣づくりで手ぬきをするクモ……都会から地方にやってきた少女の、みずみずしい視点でとらえた自然のすがたを手紙にして、横浜にくらす親友のエミへ送ります。
畑で見聞きしたこと、あたらしい生活のことに加えて、手紙の内容は、横浜の小学校で不登校になってしまった、ふたりの幼なじみ・けんちゃんのことに。部屋にこもってしまったけんちゃんに、ふたりができることとは……。
ふたりの少女の手紙のやりとりをとおして、自然のふしぎと、いじめをとりまく子どもたちの心の動きを繊細に描いた作品です。
えりとりえの文通が元になったお話。
交互に近況報告の形で書かれている。
内容は、とりとめのないこと、田舎の畑で育てた作物のこと、家族のこと、そしてある1人のクラスメイト、けんちゃんのこと。
時々話に出てくる、けんちゃん。メンタルクリニック?いじめ?気になるワードと一緒に出てくるのもあって、何があったんだろう?とどんどん読みすことができます!
語り口はあくまで、四年生の女の子。わかりやすく、時に乱暴で雑に、少し複雑な心模様も伺えます。
個人的には、時々出てくる、えみのおじいちゃんのセリフが大好きです。
どんなことがあっても、大事な作物が動物に荒らされても「そうきたか」と。
そしてもう一つ。雑草は踏まれても踏まれてもまた立ち上がると言われているが、実はそうではなく、ここはダメだと思ったら別の場所で立ち上がるということ。同じ場所で頑張らなくてもいいんだと言うこと。
軽いようでじんわり重い。
素敵な一冊でした。 (あさのこさん 30代・ママ 女の子8歳、男の子6歳)
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