ーーいつ起こるかわからない。 いまこの一秒になにもなくても、次の一秒になにか起こるかもしれない。 じゃなかったら、そのまた次の一秒に。
アンナ・ウォルツ作『おいで、アラスカ!』(原題Alaska)は、12歳の少女パーケルと13歳の少年スフェンが主人公の物語です。ふたりが交互に、新学期の二週間のあいだに起こる出来事を語ります。そして、ふたりをつなぐものとして一匹のゴールデンレトリバー、アラスカが登場するのです。 パーケルは、子犬のときから飼っていたアラスカを手放さなくてならず、さらにそのあと家族に起こった事件を体験し、近い未来に対しての不安を抱えています。転校してきたスフェンにからかわれ、しかもアラスカの新しい飼い主だと知って、くやしくなります。 しかし、そのスフェンも1年前からてんかんの発作が起こるようになり、介助犬としてアラスカがやってきたものの、不安と絶望を感じているのです。 そんなスフェンの気持ちを知らないパーケルは、アラスカを取り戻そうと決心し、真夜中、スフェンの家にしのびこむのですが、そこから物語は二転、三転していきます……。
原作”ALASKA"は、2017年、オランダの児童文学賞・銀の石筆賞を受賞。
てんかんの少年の介助犬になった犬のアラスカを奪還したいパーケル。
てんかんを容認できず、かわいそうな少年と見られることに抗うスフェン。
二人の気持ちが交互に描かれる。読み始めた時には、あまりにひねくれたスフェンの気持ちにには寄り添えず、パーケルに同情の気持ちが起こった。
てんかんという病気の理解ということもだが、読み進めていくと犯罪目撃者の心の傷や、SNSの問題など思いがけない難しい問題も盛り込まれていた。
突然に困難が降りかかり身動きが取れなくなるというこの感じ、どこかで読んだことがあると思い、作者を確認したら『100時間の夜』のアンナ・ウォルツだった。
難解さはあるが、読み終えた後、登場人物たちと一緒に問題と取り組んできたという満足感がある作品。
課題図書に選ばれたこともあり、じっくり読み込んで向き合いたい一冊である。 (はなびやさん 50代・ママ 男の子19歳)
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