すっかりさびれてしまった商店街。くつやさんも、そろそろ店をたたんだ方がいいのかもしれないと考えていた、その時。
「ごめんください」
立っていたのは、ちょうちんこぞう。驚いて思わず逃げだすくつやさんでしたが、どうしても話を聞いてほしいという言葉に、仕方なく立ちどまります。なんでも最近は、どこもかしこもアルファルトの道ばかりで、足が痛いのだと言うのです。そこでくつやさんは、靴底がやわらかい運動ぐつをはかせます。すると次の日、今度はてんぐがやってきます。さらにその次の夜には大勢のおばけたちがくつやに訪れ……。
くつやさんの前に次々に現れる、迫力満点のおばけたち。毎晩さぞかし怖い思いをしているのでは? と思うと、そうでもないみたい。それどころか、くつやさんも商店街も元気を取り戻していくのです。
第36回日産童話と絵本のグランプリ絵本大賞となったこの作品。くつやさんとおばけたちの交流をユーモラスに描いた心あたたまる絵本。新しいくつをはいて喜ぶおばけたちの、なんと魅力的なこと! どこか懐かしい商店街の様子も含めて、画面すみずみまで楽しんでみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
さびれた通りのくつやさんにやってきたのは、おばけのちょうちんこぞう。アスファルトで足をいためてかわいそうに思ったくつやさんは、くつぞこがやわらかい、合ったくつをはかせてやります。すると次の日、今度はてんぐがやってきて……。くつやのおじいさんと、おばけたちの交流を描いた心あたたまる絵本。つぎつぎとあらわれるおばけたちも魅力的です。第36回日産童話と絵本のグランプリ絵本大賞作品
くつやさんとおばけを読ませて頂きました。これは何よりもホットな気持ちにさせてくれます。私は商店街が大好きです。私の地元にも商店街がありますが、時々商店街を歩くとほんとに心地よさがあります。この本はそんな商店街のくつやさんとおばけの交流が描かれていますが、いつの間にかストーリーの世界に引き込まれていきました。くつやさんもおばけも、とても愛しい気持ちになりました。 (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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