優弥はある日、繁華街で男子高生に絡まれていたところを、通りかかった稀星に助けられる。 裕福な家に生まれ、進学校に通う優弥と、底辺校に通いながら、家計を助けるためアルバイトにいそしむ稀星はお互いの違いにとまどいながらも、しだいに惹かれあっていく。 育ってきた環境が、まったくちがう2人が恋に落ちたら、見える世界はどう変わるのだろう。 2人の恋が現代日本を映しだす、格差社会のラブストーリー。
スマホをとりだして、ラインを立ちあげ、短いメッセージを打つ。 大好きだよ 向かいのホームに降りると、稀星が手を振っているのが見えた。 優弥はあわててスマホを指さす。 そのとき、くだりの電車が滑りこんできて、稀星の姿が見えなくなる。 電車が動きだすとすぐに、上り電車が入線してきた。 先ほど打ちこんだ文字が、既読に変わった。(本文より)
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