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角川つばさ文庫 世界はとつぜん変わってしまう? もし、「あたりまえ」の毎日が、ある日とつぜんうしなわれたら?をかんがえる本。

角川つばさ文庫 世界はとつぜん変わってしまう? もし、「あたりまえ」の毎日が、ある日とつぜんうしなわれたら?をかんがえる本。

  • 児童書
著: 百瀬しのぶ
絵: なみごん
出版社: KADOKAWA KADOKAWAの特集ページがあります!

税込価格: ¥814

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作品情報

発行日: 2022年02月09日
ISBN: 9784046320841

出版社のおすすめ年齢:中学年〜
232ページ

この作品が含まれるシリーズ

みどころ

「そうだったのか……」。

2011年3月11日に起きた東日本大震災。今になって知らなかったことがこんなにあったなんて。被災地ではなかったけれどあの揺れを実際に体験し、津波の映像をリアルタイムで見て、その後もさまざまなメディアや本で多少なりとも「あの日」について知った気でいたのに……。

この本は、東日本大震災を体験していない小学生世代に向けて、2011年3月11日の「あの日」に何が起こったのかをあらためて伝える、インタビューに基づくノンフィクション作品です。小学生のダイキとミサキが東日本大震災についての宿題を解くために、いろいろな人の話を聞きに行くという形で進んでいきます。

まず第一章「震災の日」で語ってくれるのは、小学五年生で被災した体験を話して伝える「語り部」という活動をしている雁部那由多(がんべなゆた)さんです。
地震のすぐ後は「生きている側」と「亡くなった側」と考えるようになったこと。学校が始まった後、被災したクラスメイトと被災していないクラスメイトの間には、見えない壁があったこと。さらに同じ被災組の中でならつらかったり悲しかったりする気持ちを分かち合えたかというと、そうでもなかったこと。中学二年生の時に「震災の体験を話す」ことが自分の心に変化を与え「語り部」の活動を始めたことなどが語られます。インタビューの中では次のような言葉がとくに印象に残りました。

「ぼくたちが被災したのと同じ場所で学んでいる今の小学生にとっても震災は教科書の中のできごとになっちゃってるみたいなんだ。(中略)そういうときは震災を知らない世代が増えてきたのだなあと、実感するよ」

「避難所では『小学生は手伝わなくていい』と言われていたけれど、高学年のぼくたちは何か役に立ちたかった。」

「ぼくたちが震災前に学校や地域で受けていた防災教育では『判断をしなさい』って言われてた。でも、実際に東日本大震災が起こったときに求められたのは『決断』だったんだ。」

つづく第二章「震災後の生活」では、「チャイルドライン」という、子どもの電話を受け付ける活動をしている小林純子さんが、避難所での子どもたちの生活を中心に、当時の子どもたちの声を三人の小学生の物語にまとめて届けます。
登場するのは、地震の時に二日間お母さんと離れていた不安な気持ちからお母さんと離れられなくなってしまったユウカ、おじいちゃんと猫のチイが見つからないまま不安な気持ちで過ごす中、避難所での生活にも辛さを感じているマコ、お父さんが見つからない悲しみとイライラを誰かにぶつけるしかないケイタ。
「子どもにとって避難所は過酷な場所でした」という言葉に驚きを覚えました。
小林さんへのインタビューでは、「チャイルドライン」の使い方や考え方が紹介され、子どもたちがどんなことに悩み、何を求めているかの生の声が伝わってきます。

第一章と第二章からは、当時の小学生の声がたくさん聞こえてきます。同じ小学生が感じた気持ちだからこそ、今小学生である子どもたちにより身近に自分事として感じられるものがあるのではないでしょうか。

しかし本書は、ここまででは終わりません。
最終章の第三章「これから」では、貧困問題について研究活動を続ける阿部彩さんが、震災だけでなく貧困や新型コロナ感染症などさまざまな問題に直面したときに、どのように考え、解決に向かったら良いのかヒントを出しながら、「考える」ステップに進めさせ、問いかけます。災害が起こった時だけでなく日頃からの心がけが大事だということ、また「社会的包摂(ほうせつ)」の考え方が大切だという阿部さん(社会的包摂について詳しくは本書で)。さらに、感情にまかせるだけで判断するのではなく、数字をもとに考える視点の重要性も述べられ、心に残ります。

地震や津波、台風、大雨などの自然災害に加え、新型コロナ感染症の問題、さらには戦争……と予測もつかないことが世界規模でつぎつぎに起こっている今、とくに新型コロナ感染症の問題では、学校が休校になったり、行事が中止になったりと、「あたりまえ」の毎日が、ある日とつぜんうしなわれるという体験をした小学生も多くいたことでしょう。本書をまずは、今の小学生が震災を教科書の中の出来事ではなく自分事としてとらえることの助けとして。さらには、さまざま起こる出来事から自分をどう守っていくか、どう対処すれば良いのかを考えるきっかけとして、多くの小学生にすすめたいと思います。

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

出版社からの紹介

食べもの、いつも着てる服、お気に入りのかばん。家、かぞく、友だち。学校生活に、行事に部活。
もし、ある日とつぜん、ぜんぶなくなってしまったら……そう、考えたことはありますか?
2011年3月11日。ここ・日本で起きたとても大きな地震、東日本大震災は、多くの人の「あたりまえ」をうばっていった災害でした。
世界がとつぜん変わってしまうような出来事に、どう向きあったらいいのでしょう? 小学生のダイキ・ミサキといっしょに話をきいて、考えてみましょう。

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角川つばさ文庫 世界はとつぜん変わってしまう? もし、「あたりまえ」の毎日が、ある日とつぜんうしなわれたら?をかんがえる本。

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