わたしは、こんな学校 すきじゃない。 これから通う学校の正門にある満開の桜の華やかさとは反対に、小2のなずちゃんの気持ちは沈んでいました。
なぜなら、なずちゃんはお母さんと一緒におばあちゃん家に引っ越ししたばかり。ご近所さんは知らない子ばかりで、出かける気にもなれません。でもおばあちゃんが、いっしょに子犬のマリーの散歩に行こうというので、しぶしぶ家を出たところなのです。
ふたりは公園で、黒い大きな犬にほえられて、子犬を抱いて震えている女の子を見かけました。おばあちゃんとマリーが黒い犬を追い払い、女の子とはすぐに別れましたが、その後でなずちゃんは赤いおさんぽバッグの忘れ物を見つけます。気になったものの、女の子を探す気持ちにはなれなかったなずちゃん。しかしお散歩好きなマリーのおかげで、意を決して女の子を探しに出発します! なずちゃんは無事にバッグを女の子に渡せるのでしょうか。そして、新しい学校は……?
環境が変わると、不安な気持ちが大きくなってしまいます。でも、一歩勇気を出してみれば、今まで見た光景がふわりと変わって見えるかもと思わせてくれる、春風のような温かい物語です。
(中村康子 子どもの本コーディネーター)
あぁ〜あ。 ひっこしなんか したくなかった。 ともだちとも みーんな はなればなれ。 おばあちゃんが マリーの さんぽにいこうって さそってくれたけど、そんな気ぶんじゃないな。 でもマリーは さんぽが だいすきなんだよね。 「しょうがないなー。じゃあ いこっか。」 なにか たのしいことがあるかも。
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