大きなハリネズミと小さなハリネズミ、ふたりは家に帰るところ。空は夕日に染まってまっかです。
「ねえねえ、ちょっと まって」
小さなハリネズミは、夕日が沈むまで見ていたいと言います。そこでふたりは眺めのいいところにすわって、しっかり沈むまで見届けます。さあ、帰らなくちゃね。でも少し行くと、今度は明るいおつきさま。さらに進むと、すごくいいにおいのお花。ホーコーと鳴くフクロウ。ホタルの群れに、数えきれないほどの星まで。
小さなハリネズミにとって、かえりみちには見たいものがたくさん。魅力的なものばかりですものね。でも、これではなかなか家には着きません。それでも大きなハリネズミは優しく寄りそった後に言うのです。
「さあ、もう いかなくちゃ。いえは もう、すぐ そこだよ」
すると小さなハリネズミは……?
夜へと向かう風景の中、ゆっくり歩くかえりみちは特別な時間。たとえ途中で寝てしまったとしても、その先に待っているのは大好きな自分の家です。小さなハリネズミは大きなハリネズミの腕の中で、きっといい夢を見ているのでしょうね。ドイツの人気絵本作家ブリッタ・テッケントラップが、美しい一日の終わりを描きます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
家に帰る途中、小さなハリネズミには見たいものがいっぱいありました。「ちょっと待って」そういうたびに、大きなハリネズミは、そばに寄り添っていっしょにながめます。沈む夕日、昇る月、香る花、フクロウ、ホタルの群れ。数えきれないほどの星をながめ、やがて家にたどり着くふたり。小さなハリネズミは、大きなハリネズミに抱かれて、気持ちよく眠っていました。
いろんな画法を使って、夜の帰り道を幻想的に描いた絵本です。
それにしても、2ひきのハリネズミは帰り道に気になることがいっぱいあって、なかなか家にたどり着けません。
楽しい絵本ですが、発達障害児とご一緒することが多い自分としては、このこだわり癖が妙に現実的に感じられてしまいました。
ロマンチックで、お話も絵も素敵なのですが、安心安全のためにも早くおうちに帰ろうねと、つい口に出してしまいそうな絵本です。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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