はさみを持ったり、迷路をかいたりするふしぎな足。先生の足って手なのかなあ?脳性まひの保育園の先生と園児たちの温かな交流を描く写真絵本。
神奈川県座間市の保育園に勤める近藤雅則さん(三八)は、生後八か月の時に脳性まひと診断された身体障害者だ。無線の資格をとって言語機能の訓練を積み、十年前から同保育園の職員として、子どもたちの相手をしている。「子どもに遊んでもらうことがぼくの仕事です」という近藤さんに園児がつけたニックネームが「コンニャク先生」。クレヨンを持ったり、折り紙をしたり、はさみを使ったりするコンニャク先生のふしぎな足先は、園児たちの視線をひきつける。「せんせいの足って、手なのかなあ?」 写真家の星川ひろ子さんが一年半をかけた取材で、コンニャク先生と園児たちの日常が心あたたまる写真絵本になった。
ちいさいときに脳性マヒにかかった近藤さん。それをケガのようなものだと言われます。
近藤さんにはこの言葉の素晴らしさをいただきました。
そして、保育園児たちとのふれあい。
子どもたちは、感性と表現がストレートです。大人たちが避けて通ろうとする道のど真ん中を歩いて、思ったことを遠慮なく口にする。それが、この絵本の中にある素晴らしさです。
子どもたちは「コンニャク先生」とニックネームをつけ、近藤さんから真正面に向かい合い、そして理解します。思いやりが生まれます。同じ人間なんだという共有間が生まれます。この経験は子どもたちの成長の中で大きく熟成されることと思います。
コンニャク先生も素晴らしい。子どもたちの中で、自分を解放しています。子どもたちと向かい合って歩いてみたり、遊んだり。きっと自分の大きなエネルギー源なんだろうな。
困ったことに、私は道の真ん中を歩くことも、ストレートに障害者にぶつかることもできない大人です。
ただ、理解してしまえば決して差別化する人間ではありません。
経験の中で、障害者とのふれあいは多くありませんが、様々な場所で時間を共にすると、自分よりも障害をもつ人間の方が元気で、一生懸命に生きていることを感じます。
そうすると、自分にもエネルギーがわいてくる。
この絵本は子どもたちのための絵本というばかりではなく、子どもたちと大人が共有して学ぶ絵本です。
さまざまに障害者の世界に取り組んでいる星川さんの姿勢も、また素晴らしいと思います。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子12歳)
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