ピーター・ラビットシリーズの一冊。作者ビアトリクス・ポターの一番のお気に入りだったという作品です。他の作品同様、動物が印象的に擬人化され、本作品では仕立て屋との関係を盛り立てています。ねずみが走り回る部屋での仕立て屋の貧しい暮らしぶりは、英国ビクトリア朝時代の職人の生き様そのものでしょう。家具や食器、洋服のスタイルからは、この時代らしい品格がうかがえます。 猫のシンプキンの気分屋ぶりが仕立て屋を窮地に追い込みますが、これを救うのがねずみたち。彼らが歌いながら仕事に励む場面は、にぎやかさが目に浮かんでくるような光景です。最後に改心したシンプキンの表情には猫らしさがたっぷり。猫とねずみの関係が見逃せない伏線になっています。 対象年齢は、小学生中学年以上。 ――(ブラウンあすか)
昔、グロースターの町に一人の仕立て屋が住んでいた。人々のため立派な服を縫いはしたけれど、自身は貧相な男で指は曲がり服はすりきれ、大変貧しかった。クリスマスの前日、仕立て屋はグロースター市長の服を作り始める。絹とサテンの紅色の布を裁ち終わり帰宅した仕立て屋は、その夜高熱を出してしまう。服のことが気がかりでうなされる仕立て屋だったが、なんと彼にかわってネズミたちが一晩のうちに見事な上着とチョッキを作り上げてしまった!
グロースターの町に、腕はよいけれど貧しい年老いた仕立て屋がねこのシンプキンと住んでいました。今、取り掛かっているのはグロースターの市長さんの婚礼用の上着とチョッキです。納期のクリスマスを前に、仕立て屋は病気で寝込んでしまいました。まだ、洋服はボタンホールが仕上がっていません。ボタンホールをかがるための糸もありません。この家にはネズミたちが住んでいて・・・。
ピーターラビットのお話しシリーズの中の1冊です。手のひらサイズの絵本の中に、とてもステキなお話しと絵が描かれています。お話しは、少し難しく感じるかもしれないので小さな子どもさん向けではないかもしれません。けれど、仕立て屋とシンプソン、そしてネズミたちのそれぞれの思いや行動は少し大きなお子さんには伝わると思います。
クリスマスが前面に出ているのではありませんが、クリスマス絵本として並べている図書館や書店も多いようです。 (かあぴいさん 30代・ママ 男の子11歳、女の子9歳)
|