海辺にいったら、貝がらをさがそう。そっとゆらしてみて、チリン、カタンと音がしたら、中には小さなたからものが入っているかもしれない。海にゆらりと浮かぶなら、それは遠い国からやってきたふね。ポツンと穴があいていたなら、小さな小さな海の家かもしれない。
手のひらにのせた貝がらに、じっと耳をすませると。見えてくるのはどんな景色? 深い深い海の底や太古の昔、あるいは満点の星空、イルカの群れや空高く飛んでいく渡り鳥まで。伝えてくれるのは、時空を越えた海の物語。
形も色も大きさも、ひとつひとつがバラバラの貝がら。砂浜に落ちているそれらを、夢中になって拾い集めた経験がある人は多いはず。この子はどんな海にいたのだろう。渦をまいたその奥には違う世界が広がっているのかもしれない。耳にあてれば波の音が聞こえてくる。誰もが抱く、貝がらの向こう側にある未知の世界への憧れを、たかおゆうこさんが一冊の美しい絵本にして、私たちに見せてくれます。私の一番好きな貝がらは……。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
うみべにいったらかいがらをさがそう。手にのせたひとつのかいがらが、海の底へ、太古の昔へと、想像を広く深く導いていく海の物語。
『くるみのなかには』を読んでいたので、ピン!ときました。
今回は貝殻に耳を澄ませます。
そう、心で感じ取る音。
そこに広がる、素敵な物語。
鮮やかな光景が、想像力をはばたかせます。
さらには、海辺の光景も、どんどん広がって。
空と海と陸が出会うところ。
そう思えば、感性が開きます。 (レイラさん 50代・ママ 男の子30歳、男の子27歳)
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