子どもの本屋をはじめてもう何年もたちました。その頃小さかったわが子達も、もう成人し、手垢のついた大小の子どもの本だけが本棚の奥からにこっといたずらっぽく笑いかけてきます。やがて数年後にこれらの本は、わたしの子どもの子ども達の歓声とともに、ペタペタといじり廻され、舐められ、めくられて、再びにぎやかに本棚の中で動くことになるでしょう。「おばあちゃん、ご本よんで!」「もういっぺんよんで!」とせがんでくる光景を思い浮かべるだけでも年令をとることも満更ではない、ぬくぬくとした幸せな心地に今からなってきたりするものです。 この小冊子は、はじめて親になったお父さん、お母さんが、どうしたらもう少しゆったりした心を保ちながら、幸せな親と子の日々を過ごせるかを、短くまとめたものです。 本当は、もっと言いたいこと、いろいろの方々の実践や研究のご紹介や、引用も散りばめたかったのですが、若い方々のために、このくらいの量に押さえたことで、2人より5人、5人より15人の人に読んでもらえることを願い、基本的なはじめの一歩にとどめました。関心のある方は、また次のステップに立ってくださるでしょうし、また新たな問いかけも視野も広がっていくことでしょう。小さなわが子にどういう風に、どんな本を選びたいか、育児の第一歩のご両親のために、また、やみくもに、大人の好みで本を買い求められる(失礼ですが、めちゃくちゃな)親やおじいちゃま、おばあちゃまのために、役にたち、喜んでいただければ言うことはありません。どうぞゆっくり頁をめくってみてください。 3才前後からの子どもの本のガイドブックはいくつか、既にでているので、あえて省略し、ほとんど無いに等しい、0才から3才前後までの絵本の手引きに終始しました。
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