宿題をしようとおばさんの家にやってきたわたし。庭の大きな木を描くために雨がやむのを待っていると、おばさんがお話をしてくれました。 それは、ねがいをかなえてくれる「ねがいの木」のお話。木は、ある時は町をつくり、ある時は恋をかなえ、ある時は戦争をおこすのでした――。 「ねがい」とは、希望でしょうか、欲望でしょうか、それとも祈りでしょうか。 1982年の雑誌「日本児童文学」に掲載の作品を、世界中にさまざまな争いが起きている今、お届けします。
町中に立つ一本の大木を見て、時々思うことがあります。
この木は何を見てきたんだろうと。
この街が昔は何もない草原だったことを知っています。
この街が戦争を経験したことも知っています。
その中で立ち続けてきた木に、人々が願い事をしたって不思議ではありません。
「ねがいの木」は、そんな木に託した詩情ある物語だとおもいます。
木のそばに暮らし始めた若者に出会いがあって、家庭ができました。
家族ができました。
戦争があって、死があって、再会があって、歴史は刻まれていくのです。
願い事がかなったり、かなわなかったり、様々なドラマがありそうですが、生きているからこそ感じられる奇跡を味わいました。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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