クリスマスの前夜、お金もうけにしか興味のない冷酷なスクルージの元に順番にやってきた三人の幽霊。幽霊が見せたのはスクルージの「過去」「現在」「未来」。はたしてその風景とは? そしてそれを見たスクルージに起きた変化とは?―『クリスマス・キャロル』(チャールズ・ディケンズ/作)
町じゅうを見渡せる高いところに立つ「しあわせ王子」の像。生きている時には知らなかった、人々の貧しい生活やかなしさを知るようになり、涙を流します。そして、自由に動けるつばめに、困っている人へのおつかいをお願いするのですが……。―『しあわせな王子さま』(オスカー・ワイルド/作)
クリスマスの日、今までの中で一番さびしいクリスマスと覚悟する兄と、サンタさんに「お母さん」をお願いする幼い妹。そんな二人にクリスマスの夜、奇跡が訪れて……。―『さびしいクリスマス』(村岡花子/作)
クリスマスの意味を感じさせてくれる、慈悲深く温かな名作が3つ入った本書。 世界中で読み継がれている『クリスマス・キャロル』と『しあわせな王子さま』を、本書では「赤毛のアン」シリーズの翻訳で人気の村岡花子さんの訳でお届けします。村岡花子さんの訳は、まるでお母さんが夜寝る前にお話を語りかけてくれているかのようで、子どもたちはもちろん、大人をも心地良くお話の世界へと誘ってくれることでしょう。村岡花子さんご自身が書かれた童話『さびしいクリスマス』は、本書ではじめて読まれる方も多いかもしれませんが、幼い子どもたちの切実な祈りが届くクリスマスの奇跡をぜひ体験していただけたらと思います。
また、ひと目でぱっと目を惹くクラシカルで可愛い装丁デザインは、本書を語る上では欠かせない大事な要素。こちらはイラストレーター北澤平祐さんと装丁家の中嶋香織さんによる「北澤平祐の名作」シリーズで、このたび『クリスマス・キャロル』が仲間入りしました。物語を楽しんだ後には、表紙をじっくり眺めて物語に出てきた登場人物を探してみたり、カバーを外して、中の深紅色の装丁を愉しんだり、美しい見返しをじっくり眺めたり……。物語だけでなく、本そのものの美しさを堪能できる贅沢な一冊です。
物語と本そのものの美しさの両方を感じられる本書を、本が好きなあの子や、大切な大人の友人へ贈ってみませんか。丁寧に編まれた一冊を手にした時、あなたが相手を大切に思う気持ちが一緒に伝わることでしょう。そしてもちろん自分自身のためにも、宝物の一冊として手元に置いてみませんか。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
世界でもっとも読まれているクリスマスの物語、チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』。
幸せとはなにかを考えずにはいられない、オスカー・ワイルドの童話『しあわせな王子さま』。
クリスマスシーズンに読みたいふたつの名作を「赤毛のアン」シリーズの翻訳で人気の村岡花子の美しい訳でお届けします。
自身もクリスチャンであった村岡花子が手がけた童話『さびしいクリスマス』も特別に収録。
イラストレーター北澤平祐と装丁家・中嶋香織とによる、クラシカルかつ可愛い装丁で、プレゼントにも、自分で持っているにも、ぴったりの一冊になりました。
毎年クリスマスに読み返したいアンソロジーです。
*中学生以上の漢字にルビつき
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