丘の向こうの道の果て、きらめく川のほとりに建っている一軒の家。そこでは12人の子どもたちが生まれ、育った。
子どもたちは、壁に模様をつけ、居間でオルガンを弾き、いたずらをして怒られたり、自分の部屋で宇宙や星々の本に夢中になったり。思い思いに過ごします。またどんな天気の日でもお手伝いはかかさず、家族みんなで食卓を囲み、お祈りをします。やがて、子どもたちは皆大人になり、この家から巣立っていき……。
農場の跡地の中に、誰もいなくなって朽ちかけた家を見つけたのは、持ち主となった画家。彼女は取り壊してしまう前に、壁紙の切れはし、雨を吸いこんだ本や泥まみれのドレス、新聞やポスター、ボタン、カーテンの生地などを拾い集めます。そしてこの家で起こったことを考え、その生活をいきいきと再現していきます。そして、完成したのがこの絵本なのです!
いくつもの素材や色が層となって重なり、可憐さと重厚さをあわせ持つ独特な風合いが魅力的。作者のソフィー・ブラッコールさんは、コールデコット賞を2度受賞し、今世界から熱く注目されている絵本作家です。
読み終わった時の驚きとともにやってくるのは、絵本の中の住人たちに出会えたという喜び。家そのものはなくなっても、場所には物語がある。住んでいた人達の思いはずっと生きつづけいくという、作者のメッセージが伝わってきます。どこを切り取ってみても、そこから新たな発見があり、物語が生まれてくる。そんな風にいつまでも味わっていたくなる絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
丘のむこう、きらめく川のほとりに、一軒の家が建っている。そこで12人の子どもが生まれ、育ち、巣立っていった。……農場の跡地の持ち主になった画家のブラッコールさんは、くずれかけた農家がまだ建っていることを知り、壊してしまう前に、壁紙や家具の切れはし、残されていた新聞、ポスター、洋服、カーテンの生地などを拾い集めました。その材料を使って、昔、ここに住んでいた人たちの生活をいきいきと再現したのが、この本です。家そのものはなくなっても、家の歴史や住んでいた人たちの思いはずっと生きつづけていく、というメッセージが伝わります。細部まで丁寧に描きこまれた色彩豊かな絵は、見るたびに新しい発見があります。何度でも眺めたくなる絵本です。
大判で存在感のあるたたずまいに惹かれ、手に取りました。
一軒の農家とその暮らしが丁寧に描かれた作品。古いもののコラージュを使って描かれているというところに、当時の空気を感じます。
同じ作者さんが描いた『おーい、こちら灯台』や『ぺろぺろキャンディー』などもとっても好きです。
大人も楽しめる絵本だと思います。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子17歳、男の子15歳)
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