戦争が終わっても帰国できず、シベリアの地で働かされていた日本人たちがいたのを知っていますか?そんな人々の心をなぐさめたのは、一匹の黒い犬でした。クロと名づけられかわいがられた犬は、人々が日本に帰る船を追って氷の海にとびこんだのです。
戦争が終わって10年もの間日本に帰れなかった人たちがいた。
シベリアに抑留され、戦争が終わっても捕虜(?)として強制労働を強いられていた人たちがいた。
事実でありながら歴史に埋もれてしまって、戦争の話題からは切り離されてしまったような人たちがいた。
何よりも、この本はそのことを伝えるために書かれた本だと思います。
抑留と強制労働を強いられてきた日本人は、生きるため、日本に帰るという希望を失わないために助け合ってきました。
そして、打ちのめされそうになったときに助けてくれたのが一匹の犬。
抑留兵たちの努力で一緒に生活するようになった子犬は、クロと名付けられます。
彼らの生活の中で支えとなり、彼らが助け合える力となりました。
一匹の犬の力がこれだけすごいのだということに感動です。
最後の抑留兵1,025名が日本に帰還できる時がやってきました。
クロと離れがたい川口さんがクロを外套に隠して列車で一緒に移動してきたことが次の感動を呼びます。
乗船させてもらえなかったクロは、船が出港するや氷の海に飛び込んで、船を追いかけ始めるのです。
犬の習性といえばそれまでかもしれません。
そんなクロを助け上げた人々も素晴らしい。
日本に帰国して、クロは抑留兵たちとは離別させられました。
ノンフィクションだから、淡々としています。
それでもクロが幸せに暮らしたということにホッとさせられます。
事実の重みを感じるお話です。
動物愛護と戦争の悲惨を痛感させてくれる本です。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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