病気のおばあさんの回復を願って、冬を越しても鳴き続けるこおろぎの話です。
他の虫に鳴声をばかにされたこおろぎのチチロを、ただ一人みとめてくれたおばあさんでした。
とてもせつなくて良いお話なのですが、変わった絵本です。
秋の風景と、おばあさんの家を描きながら、二人が全く出てこないのです。
どこかに何か有りはしないかと、隅々を見回しているうちに、こおろぎとおばあさんの存在感だけは大きくなっていきました。
姿を見せずに存在感を表現する、大人のための絵本のようでした。
おばあさんを思う気持ちに支えられて冬を越したこおろぎは、うぐいすの啼声を聴きながら、力尽きていくようです。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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