耕うん機のエンジン音から、死んだ父の声が聞こえたような気がした…。直は、好きな野球を続けながら、父に代わって田んぼを耕す決意をする。農業と野球に全力投球する青春! 中学三年生の直には父親がいない。昨年の冬、過疎の隣村へ雪下ろしに行き、沢にはまって亡くなった。父が耕していた山の田んぼを、母は手放すと言う。やるせない気持ちで直が作業小屋に行き、耕耘機のエンジンをかけると、エンジン音から父の声が聞こえたような気がした…。 直は、好きな野球を続けながら、父の代わって田んぼを耕す決意をする。耕耘機の扱い方を教えてくれるのは、長年山間地の農地で稲作を続けてきた兼三さん。部活の仲間に支えられてなんとか田植えまでこぎつけるが…。
いきいきとした等身大の中学生を描きながら、日本の農業問題(過疎、高齢化、若者の農離れ、国内農地の大半を占める中山間地をいかに維持するか)など、現代の「農」の問題をするどく描き出しています。
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