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「牡丹どうろう」「四谷怪談」「白衣の騎士」ほか、生命の美しさや尊さを教えてくれる怪奇と幻想あふれる日本の民話と伝説。
1971年刊行。2006年改訂版。
昭和の怪談話・映画・演芸場などでお馴染みの四谷怪談、牡丹燈篭の他、全国各地に伝わる幽霊が登場する民話や伝説を17話収録。
不慮の死を遂げた人の恨みつらみ、親子の愛情、この世を去れず未練に縛られる霊…など、いろいろな怪異が楽しめる一冊。
今はあまりやらなくなった?が、昭和では「定番」ものとして、夏場に映画やお芝居、寄席などの演芸場などで上演される怪談があった。
当時、自分は子どもだったので、あまり詳しい話の筋は知らなかったが、アニメや漫画本などでパロディやギャグとして知っていた。
大人になってから、大人向けの「牡丹燈篭」(映画)、四谷怪談(本、講談)など鑑賞して、ようやく話の筋がわかった。結構長い話で、登場人物の人間関係が複雑&大人の事情満載。
それを子ども向けに、ずいぶん要約して、分かりやすく書いてある。毒気を抜かれているが、それでも残酷な仕打ちを受ける人々の呪いの言葉が聞こえてきそう。
余談だが、これらの作品を映画やお芝居などにする場合、しかるべきところに出演者・関係者がお祓いに行ったりしないと事故が起きる…といったうわさ話もあった。今は、YouTubeなどでもプロ・素人問わず怪談話や怪奇動画を気軽にUPしているが、皆さん、大丈夫だろうか?
どの話も読み切りなので、どこから読んでも面白い。
知らない話もたくさんあり、地方の歴史や人々のいろんな心の動き、人間模様を感じた。
一番最後の話が、後味が悪くて印象に残った。怪奇現象と人間の愚かさが恐ろしい作品。本当は、生きている人間が一番怖い。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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