きっかけはほんのちょっとしたこと。 気持ちのすれちがいにがっかり、子犬のティニーはケンの家を抜け出します。 そこで出会ったのは思わぬ出来事、体に黄色いふうせんをまきつけたティニーは風に吹かれて空高く浮かび上がっていったのです。
「やあ こいぬくん。ぼくはラビィ」 「きみもとばされてきたのかい?」 「いいや、ぼくは生まれつきのふうせんうさぎさ」 うまれつき?ふうせんうさぎ? ラビィは次々と個性的な「ふうせんどうぶつ」の仲間たちを紹介してくれるけど・・・。みんな浮いている。車にも、家にもみんなふうせんがついている。不便じゃないの? いえいえ、ここではそれが当たり前。雲の上の見た事もない場所、カラフルなふうせんにあふれたバルン王国です! ひっくり返された「当たり前」に戸惑いながら、それでもティニーはみんなの気持ちを考えてみたり、一緒に冒険をしていく中で、大切なことに気がついていきます。やがてラビィともお別れの時がやってきて・・・。 つぶらな瞳、縞々の服に赤いスカーフ、黄色いふうせんがよく似合っているティニーの、ちょっと不思議な物語。
なんといってもこの絵本のおもしろさは、物語の大半が「浮いている」っていうこと。ふわふわ、ゆらゆら、一体どんな感覚なんだろう。そんな子どもたちのワクワクする気持ちに答えるように、色鮮やかでダイナミックな雲の上の世界が次から次へと展開されていきます。
作者は映画プロデューサーであり、作家デビューも果たした川村元気さん。そして、タッグを組んでいるのはニャンまげやグリーンダカラちゃんなど人気キャラクターを次々と生み出してきたアートディレクター・佐野研二郎さん。幅広いジャンルの第一線で活躍されているお二人が、こだわりぬいて完成させたこの作品には、隅から隅まで遊びゴコロにあふれています。
シンプルで明快、だけどいつまでも忘れられない風景と表情。 小さな子どもたちはこの絵本の中でたくさんの発見をしながら遊びまわり、大人は親近感を抱き始めていたラビィとティニーの最後の会話にぐっときて。 読み終わったあとには、なんだかみんなの心がちょっとだけ浮き上がったような気持ちになれる1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
■ストーリー
【くもの うえには ふうせんどうぶつの くにがあった。】
からだに風船を巻きつけた小犬・ティニーは 風に飛ばされ、雲の上に飛んできてしまった。 たどりついた雲の上の世界でティニーは 生まれつき風船が体についている 「ふうせんどうぶつ」たちに出会う。 そしてティニーの大冒険がはじまった――。
■作品紹介
【こどもは わらい、おとなは なみだ。みんな一緒に楽しくなる絵本!】
小犬・ティニーが辿り着いたのは、生まれつきからだにふうせんのついた“ふうせんどうぶつ”たちの住む、ふしぎな世界。
ティニーははじめ、雲の上で繰り広げられる一見おかしな出来事に戸惑いを覚えますが、彼らにとっては、それが常識で、あたりまえ。
でもティニーは、相手の立場に立ってみたり、ほんの少し視点を変えてみたりすることで、新しい発見や解決策を見つけていきます。
ちょっと目線を上げてみるだけで毎日がなんだか楽しくなる。 この作品は、人生にとって大切なことをそっと教えてくれる絵本です。
本屋大賞にもノミネートされた『世界から猫が消えたなら』の著者・川村元気と、 ニャンまげなど人気キャラクターを次々と生み出してきたアートディレクター・佐野研二郎による 「ふうせんどうぶつ」たちの物語!
・カラフルな風船✕動物たちの組み合わせで知育にもぴったり! ・それぞれの「ふうせんどうぶつ」が持つ、「きわめて人間的な悩みやコンプレックス」に笑いながらも目からウロコが落ちる!
「あたりまえだろ、ぼくらは ともだち なんだから」
ラビッシュの言葉に、胸がキュンとしました。
風船をつけて、どこまでも飛んでゆくティニー。
はじめて出会う仲間、はじめての世界・・・。
色とりどりの風船がとてもキレイで、
なんだか夢を見ているようです。
これは絵本ですが、
まるで何話も続くアニメーションを見ていたような・・・
そんな不思議な満足感がありました。 (なーお00さん 20代・その他の方 )
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