悩み傷つき胸を痛めながら、いつか迎えねばならない自立の時――。アン・ローレンス「こわいもの知らずの少女」、アンデルセン「あの女はろくでなし」、モリス・ハーシュマン「ガールフレンド」、坂田靖子「虫めづる姫君」、工清定「加賀の千代」、塩野七生「サロメの乳母の話」、アガサ・クリスティー「金持ちの夫人の事件」の、様々な自立を描いた7編を収録。
【内容】
差別や風習、その他、ありとあらゆる「自分を自分でなくさせて封じ込ませてしまうもの」と戦っている女性たちを扱った作品を収録。(赤木かん子氏解説より)
・こわいもの知らずの少女 (アン・ローレンス)
・あの女はろくでなし (アンデルセン)
・ガールフレンド (モリス・ハーシュマン)
・虫めづる姫君 (原作:堤中納言物語、漫画:坂田靖子)
・加賀の千代 (工清定)
・サロメの乳母の話 (塩野七生)
・金持ちの夫人の事件 (アガサ・クリスティー)
【感想】
読み応えのある短編ばかり。いろんな作家の作品が少しずつ楽しめるので、気に入った作家の本を改めて読んでみる楽しみもあり、読書の幅が広がる。お勧めのシリーズ。(リトルセレクションの他に、ミステリーやホラーなどの短編集もある)どの作品も、女性が主人公の冒険物語。精神的な闘いを描いているので、読みながら身近な問題や自分の身の回りの人間関係などを考えさせられる。
特に、個人的に面白かったのは、「加賀の千代」。俳句の会に招かれた女性の話だ。自称「俳人」(自称、有識者で風流人)が、いかにつまらない人間であり、本物の芸術家の前で、自分のダメさ加減を思い知らされていく痛快な話。現実で、いくらでもありそうな、女性差別、階級差別、見た目の差別の話。
また、「こわいもの知らずの少女」も、素晴らしい。いろんな差別や偏見、意地悪に打ち勝っていき、幸運を手に入れ、ハッピーエンドで終わるので、読後の爽快感がある。しかし、私はあの旦那と結婚して、果たして、あんな勇敢で忍耐力があり、仕事ができる女性が満足できるか疑問。きっと旦那は付録にすぎない。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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