まど・みちおの詩は瑞々しい。言葉の力を見せつけられる。
40年近く前、本棚でタイトルに惹かれて手にとって以来、折に触れて思い出す1冊だ
。
タイトルになっている詩は「ぴりぴり」のフレーズだけでシソの実のてんぷらを揚げる音や匂いまで伝わってくる。これが詩なのだと実感したことだった。詩と一体化した杉田豊の挿絵はいつものカラフルな色彩ではないが、2色刷りの制約を逆手にとって効果的だ。
「イナゴ」という詩でイナゴを見つめる詩人は最後に歌う。
ああ 強い生きものと
よわい生きもののあいだを
川のように流れる
イネのにおい!
強いのはイナゴ?それともそれを見ている人間の方?…
ところで…巻末にある著者紹介の住所が川崎の実家のすぐ近くなことに改めて驚いたのだが、それはまた別な話…