いたずら子猫のしろきち。ある秋の日、きれいな声で鳴く虫を食べてしまいます。するとその虫が,しろきちのお腹の中で鳴き出してしまいます。
作者の大佛次郎は,「鞍馬天狗」の作者で,猫好きで有名だったそうです。この「スイッチョねこ」は,昭和20年代に書かれたものに,その後,安泰が絵を描いた絵本だそうです。
子供が5歳の頃に読んで上げたと思います。子猫のお腹の中で虫が鳴くというところが,印象に残ったようで,本当に猫が虫を食べてしまったら,どうなるのか,とても心配していました。
幼年向きの絵本としては,文章も長く,母猫の話す言葉遣いも少し古風で,難しく感じるかもしれません。
でも,作者の猫を愛する気持ちが伝わる,細かい描写。子猫の生き生きとした表情が描かれている絵。秋の風情も,よく伝わってきます。
なによりも,お母さんの話す,今は失われたやさしい言葉遣いが,古風でも,作品を優しく包んでいるような気がしました。
長く読み継がれて欲しい1冊だと思います。