この絵本を読むまで、息子は「心」という、目に見えないものについて、あまり深く考えたことがないようでした。
私自身、それを理解するのはもっと先のことだろうな、と思っていました。
ティモシーは、みんなで作った水車の中で、自分のものだけが回らなかったのが悔しくて、
お父さんに相談します。
お父さんの答えは「本物の水車を見に行ってごらん」
ティモシーは次の日、本物の水車を見て一日を過ごします。
そして夢中になって作った、玩具の水車。
世界でたった一つのティモシーの水車は、げんきよく回り続けます。
けれど…
一生懸命作った水車が、居眠りしている間に流されてしまい、号泣するティモシー。
この心の動きがよく分かります。
せっかく作ったのに!
サラやサラになぐさめられて、
ティモシーも、いったんは泣き止むのですが…
ティモシーとお母さんの会話が、実に秀逸です。
「お母さん、ぼく寝ようとしても、あの水車のことばかりかんがえちゃうんだ」
どうしても分からない、なんにも悪いことしていないのに。
水車が忘れられないというティモシー。
お母さんはそっと言います。「今は忘れられなくてもいい」
「ねえ、知ってる? あなたの中に宝物が入る場所があるのよ。なくしてしまった大切なものは、いつのまにかみんなそこにいるの」
ああ、素敵ですねえ!!
私なら、こんな風にいえるでしょうか?
「自分がなくしたんでしょ!!」って言ってしまいやしないでしょうか?
それから。
執念深い私は、いまだになくしてしまった大切な物について、
「あーなんでなくしちゃったんだろう」「捨てちゃったんだろう」なんて思うことがよくあるのですが、
このお母さんの考えは、とてもぴったりと心にはまりました。
そうか、そんな風に考えればいいんだ。
そう素直に思える絵本でした。
冒頭で少しお話しましたが、
息子は、この絵本で「心」のことを意識するようになったようです。
「僕にもあるよね?」
「ここんところに、心、あるんだ」
嬉しそうに言う息子の姿に、私は嬉すぎて涙しそうになりました。