「ぼくと せいちゃんは ずっと いっしょで これからも ずっと いっしょ。」と思っていたのに、ある夏の日、せいちゃんは引っ越してしまいました。
手紙で、春になったら、せいちゃんがやってくることを知ったぼくは、早く春になればいいのにと思っていたはずなのに、秋が過ぎ、冬になると、せいちゃんのことを忘れてしまいます。
私がこの絵本で一番うれしいのは、春に再会した二人が、ブランコに乗ったり、お菓子を食べたり、サッカーをしたりと、以前と変わりなく遊んでいることです。一緒にいる二人が、何とも楽しそうで、良かった、と安心します。
私には、小学3年の終わりに引っ越していった友人がいました。彼は6年生になったときに戻ってきました。その時、私は彼に冷たくしてしまいました。彼のいなかった2年のあいだに、新しい友だちができていたからです。このことは、今でも苦い思い出としてよく憶えています。でも、彼がうれしそうに、帰って来たよ、と家まで来てくれたときに、一言でも声をかけることができていたら、また友だちでいられたのにと自分の心の弱さをさびしく思います。
ぼくとせいちゃんも、成長するにつれ、会ったり会わなかったりするかもしれませんが、いつまでも互いの心のなかに残る友だちであってほしいと思います。
就学前の子どもたちが、引越しという「事件」に巻き込まれてしまったときに、読んであげると良い絵本です。