【あらすじ】
くるみさんがやっている「三日月屋」は、つるばら村で唯一のパン屋さん。お店はなく、注文をうけてから作って配達する、宅配のお店です。いつか駅前にお店を持つのがくるみさんの夢。
このパン屋さん、注文してくるのが人間とは限りません。熊やウサギ、猫、他にも…不思議な世界と現実の世界が入り混じる短編6話。
【感想】
妙にリアルな世界と、ファンタジーの世界が行ったり来たりする楽しいお話。
全てがパンにまつわるお話で、どのパンも実に美味しそう。
いろんなパンを試食しているうちに、いつの間にかおなか一杯になって、あっという間に読み終わっていました。そして、次の作品も味わいたくなります。
(シリーズは12冊でているので、楽しみが増えました)
ちょっと昔風の、レトロな表現や小道具が、愛おしい。
懐かしいような気分になり、自分も自然が豊かで、不思議な住人と一緒に平和に暮らしているつるばら村に住んでいるような気分になってきます。
こんな楽しい世界に迷い込んでいって、おいしい思いをして、安全に戻ってこられるなんて、いいことづくめ。おいしいお菓子を何度も食べたくなるように、物語も何度も読み返したくなります。幸せになる話。
「はちみつのパン」「ドングリのパン」「三日月のパン」「クリスマスのパン」「あんこのパン」「ジャムのパン」
どれもいいけど、一番好きなのは、「あんこのパン」かな。ねこの出てくる話で、ねこのお祝いの引き出物に、猫用のあんこのパン20個を注文する話。妙にリアルで、原価がかかっていそうで、他にない味わいで?、ユーモアも満載。ぜひ、味わってみてください。